2014全国学力テスト小学国語 徹底解説(トゥギャリのコピー) | ふくしま国語塾主宰 福嶋隆史のブログ

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株式会社横浜国語研究所 代表取締役/ふくしま国語塾 主宰 福嶋隆史のブログです。


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先にも書いたが、問題・解答・解説などはすべてPDFでこちら( http://t.co/bzV7lXghsT )に公開されているので、興味のあるかたは、ページをめくって問題を確認しながらツイートを読んでいただきたい。
23:05:14

小A/P.3-4)「いつの間にか灰色の雲が広がり、公園はだんだんと暗くなってきました」という文が示すのが表情なのか、心の中の声なのか、風景なのか、行動なのかを選ばせるだけの問題。しかし、これが「書く力」を試す問いであり「情景描写の効果をとらえることができるかをみる」問いだと言う。
23:16:11

まあ、100万人単位の子どもが受けるテストだから、多くを選択式にせざるを得ないのは認める。難易度のバランスも考えると、こういう平易な問いも盛り込むべきだというのはわかる。
23:23:22

しかし、同じ平易な設問にするにしても、具体化させるのか抽象化させるのかは慎重に考えてほしかった。人物の心情を言葉で直接描写せず、風景を通して間接的に描写する力をみたいというのなら、やはり具体化設問にすべきだっただろう。
23:25:36

「灰色の雲、暗くなってきた」を「風景」に変換させるのではなく、その逆を課すべきだった。風景を通して「さびしい」という心情を伝えているのはどれか、と。このほうが、難易度は平易なままで、問うべき能力に近づける。
23:27:22

学力テストってのは、全体に、お説教めいてるんだよな。問題の中に、お説教が多い。もちろん、人物の会話などに変換されてはいるが、お説教はお説教。で、そのお説教の途中が空欄になっていたりする。
23:30:40

子どもの能力の有無を調べる問いというよりも、「こういう能力を身につけろよ」とお説教している感じの問いが多いんだな。
23:32:14

おっと、こんな調子じゃ何時間あっても終わらないぞ(笑)
23:33:36

それぞれの問題の良し悪しを、ランク付けしたいと思う。D→C→B→Aの順に、質が高くなるようにする。B゜(Bマル)はBよりも少し良い。
23:36:38

いまの小A/P.3-4は、「B」。まだ違和感が少ないほう。
23:38:14

小A/P.5-6)捨て猫を見つけた体験を通して命を大切にしようと訴える投書を読ませ、その文章が、複数の情報を比べて書かれているか、ことわざや言い伝えを引用して書かれているか、反対意見を取り上げて書かれているか、自分の実体験をもとにして書かれているかを選択させる、あほらしい問題。
23:43:02

これが「体験を通して」書かれているのは明白。しかし、その選択肢は4番目にある。1~3を読む中でそれらを消去する必要がある。体験を通して書かれていることに異存のない子でも、1~3を否定できないとミスする可能性が残る。
23:48:35

たとえば、選択肢1にすぐさま登場する、「複数の情報を比べ、内容の違いに注目して書いている」という文そのものの意味をとらえる力がないと、ミスが誘発される。「情報って、なんだっけ」といった壁があることになる。
23:53:10

このように、最も問いたい中核的な能力の周りに幾重にも「壁」があり、結局その壁が邪魔をして、中核的能力の有無を調べられないような設問が、学力テストには実に多い。
23:58:57

この問題であれば、こう問うべきだった。「体験を通して述べていると言える投書は、次のうちどれか」。投書の文字数(約250字)を減らせば、このくらい容易。というより、「投書」という設定(脚色)をやめて、100字の(普通の)文章を4つ読ませるくらいにすればよかった。
00:04:03

ということで、小A/P.5-6はC゜だな。
00:04:46

小A/P.7-8)志賀直哉「かくれんぼう」の一節を読ませ、空所に人物名を入れさせる設問。これはまあ素直な良問だと思う。が、欠点もある。
00:11:00

もともとの文章が、地の文において、ある人物は「さん」づけ、ある人物は「さん」なしになっているため、「(  )さん」という空所の答えが、そういう形式的情報から推測できてしまう。これじゃあ、パズルだ。せっかくの良問に傷がついている。ということで、小A/P.7-8は「B゜」。
00:12:28

そもそも本文の選択が間違ってる。なぜ志賀直哉「かくれんぼう」なのか。「ジョールさん」「オデットさん」などという耳慣れない人物名が出てくるような、しかも「まゆ根を寄せ」「後ろで」「不興気」と3つも注釈をつけなければならないような文章を選ぶ必然性はない。自作すればいいのだ。さぼるな。
00:17:02

後ろで→後ろ手
00:19:24

小A/P.9-10)なんのことはない文法問題だが、設問文が無駄に厳格。【~部は、そのあとに続く「母の注意に耳をかたむけていたらよかったと反省しました。」という内容に対して、適切な表現ではありません】。これ一読して理解できる子、少ないだろうな。
00:23:39
Content from Twitter

でも、選択肢を見れば、ああそういうことね、と分かる。だから、まあさしたる被害は生じない。とはいえ、この「設問文のまどろっこしさ」は、学力テストの大きな欠点の1つだと思う。ということで、小A/P.9-10は「B゜」。
00:24:29

そういう「まどろっこしさ」もまた、先に述べた「壁」の1つ。学力テストとしての機能性が下がる。そういうまどろっこしい文を読む力も試したいんだろと思うかもしれないが、それならば最初から長文読解にするだろう。こんなにも細分化して指導要領に忠実に沿った出題をするのだからそれは当たらない。
00:27:19

小A/P.11)TV等でもよく使われるマトリックス図(2つの対比軸を持つ、十字のような図)を使った出題。それ自体は良い。しかし、相変わらず出題形式が悪い。結局、分類の仕方を問うているだけ。解説内の「出題趣旨」にあるような、「情報の関連づけ能力」を問う問題であるとは、到底言えない。
00:36:45

遊びを整理したマトリックス図が、「場所やルールごとに整理している」か、「複数の観点を決めて分類している」か、「大勢で参加できる順に上から並べられている」か、「一つの遊びから他の遊びを連想して広げている」か、という選択肢。そうじゃない、そうじゃないだろ。
00:39:37

マトリックス図を使って情報を関連づける能力を問いたいのなら、真っ先に、対比の観点(軸)そのものを扱うべきだろ。たとえば、「多くの人とふれ合える/一部の人としかふれ合えない」という部分を空欄にして選択肢化するなどすればよい。
00:43:31

しかも、また「まどろっこしさ」がにじみ出ている。スピード感がない。選択肢3は、先ほど「大勢で参加できる順に上から並べられている」と書いたが、これは私の翻訳。実際には、「みんなが参加できると考えられる順番に上から並べている」。作問者の〈言語感覚〉が麻痺しているとしか思えない。
00:48:47

そもそも、たったこれだけを問う問題なのに、冒頭から設問が長い長い。1ツイート140字に入らないんだから、こりゃあもう、確実に長い。
00:51:02

岩村さんの学級では、みんなが参加でき、多くの人とふれ合えるように、「みんなで遊ぶ日の遊びを見直そう」という案が出されました。それを議題として話し合いをしています。次は、話し合いの内容を黒板にまとめた【記録の一部】です。まとめ方の説明として最もふさわしいものを、1から4までの中から
00:52:23

一つ選んで、その番号を書きましょう。
00:52:26

ほら、はみ出した。
00:52:32

これだけでいいだろ→「次の図の整理の仕方としてふさわしいものを一つ選びなさい」。
00:53:35

なぜ、こういう演出をしたがるのか。「話し合いをしている場面」に仕立て上げることによって、学習指導要領の中の「話す・聞く能力」を問う問題をちゃんと入れているぜ!と主張したいようなのだが、的はずれである。
00:59:44

これは、話す・聞く能力を問う問題ではない。到底、ない。単に、図の分類方法を問うているだけである。それを、「話す・聞く」力を試す問いだと(解説の中で)公言する国立教育政策研究所。情けない。
01:02:53

書く力、読む力とは異なる「話す・聞く力」というものが存在するのなら、それはコンテクストを読む力のことかもしれない。相手が5分前に発したあの言葉をもとに考えると、たった今相手が発した言葉は通常とは逆の意味になるはずだ、というような。
01:08:26

しかし、それをうまいこと文章化し紙面で出題できたとしても、「あの言葉」を根拠にして「今の言葉」の方向性(プラス・マイナス)を判断することになるわけであり、それは単に因果関係整理力を問うているにすぎない。
01:12:06

コンテクストを読む力も、結局は論理的思考力のことなのであった。音声ならではの音量(強弱)・音のスピード・抑揚・間のとり方などといった情報が加わるという違いがあるだけ。でも、それを紙の上で再現するのは不可能に近い。だったら、始めから「話す・聞く力」を試そうなんて思わないことだ。
01:14:52

論理的思考力だけを問えばいい。それで十分、国語力を測れる。
01:16:02

そんなわけで、小A/P.11は、C。
01:16:53

小Aの最後は、単に「はかる」の漢字問題。入試頻出。まあこれはどうでもいい問題なんだが、これもご多分にもれず演出がすごい。まあ、ヒントの意味なんだろうけど、【国語辞典の一部】なるものを半ページ、【文章の一部】が70字強。なぜこうやって子どもの時間を奪おうとするのか、理解に苦しむ。
01:20:11

「はかる」だけで1ページ使っているテスト、見たことない。これ、ページの無駄。100万人単位で受検してるんだから、紙の無駄、金の無駄。……と、陳腐な批判もいちおう加えておく。
01:22:08

おおっと(笑)。いま解説を見てびっくりした。これ、漢字の問い(言語知識の問題)じゃなかったんだね。出題趣旨は、「国語辞典を使って,言葉の意味と使い方を理解することができるかどうかをみる。」だって(笑)。おっどろいた。
01:23:50

どうりで、冒頭の漢字問題と一緒になっていないわけだ……。「いろいろと考えて計画する(例:解決を図る)」という辞書の文面をもとに類推して、「小学生が運動をする機会をはかる」の「はかる」の字を決める問題だったらしい。
01:28:32

でもこれ、あまりに入試頻出だし、あまりに問題集等に出てくるから、そんな出題者の意図を無視して、2秒くらいで「あ、図るね」と解いた子も多かったんじゃないかな……。
01:32:13

たしかに辞書というのは、抽象的意味と具体的用例とが並列されていて、抽象・具体の関係を整理する力を問うために利用できるだろう。私もときどき授業でそのように利用している。「猿も木から落ちる」を抽象化させるとき、「辞書の〈意味〉の部分に載っているような表現にするんだよ」と伝えたりする。
01:35:46

その意味では、必ずしも悪問ではない。小A/P.12は、「A」にしておこう。もしこれが漢字の問題であるならば、「C」だけど。
01:43:04

でも、ひとつ苦言を。「はかる」が出題されるときというのは、十中八九、「図る」が答えになる。それは、他(測る・計る・量る)があまりに似通っているからだ。計測、測量、計量。熟語にするともう混乱するばかり。それを避けるという定番の出題は、あまり工夫があるとは言えない。
01:46:12

辞書を引くのは、同音異義語を確かめるときだけではない。というより、単に未知の言葉の意味を調べるときのほうが多い(子どもは特に)。そこで、1つの言葉に複数の意味があるケースを取り上げ、「文中のこの言葉は、1~4のどの意味で使われているか」といった出題をするという手もある。
01:53:00

Aが終わった段階で、3時間経ってしまった(笑)。Bこそがメインなのに、それに、中学もあるというのに、これじゃあ1日かけても終わらない。今日はここまでにするが、明日以降やるかどうかは、……わからん。
01:54:16

しかも、ほとんど誰もRTせずふぁぼらず。どうせあとでトゥギャるんだろ、ってことか(笑)? もうちょっと反応してくれないと、twitterで書いている意味が半減する……。切ない。
01:55:10

たしかに学力テストはセンター試験などとは違い、結果によって個人の人生が動くわけではない。その意味では、悪問だとしても致命的な問題は起こらない。しかし、224万人が受けたテスト。センター試験は約50万人。ざっと4倍。
02:03:13

これほどの数の子どもたちが、このひどいテストによって「診断」されていることを考えただけで、虫酸が走るというものだ。しかも、教師という教師が、これを参考にして授業を作っていく(よう勧告されている)のだ。心ある教師は、この巨悪を放置してはいけない。
02:06:27

しかも、このテストの点数とその分析結果を受けて、「今の日本の子どもたちは話す・聞く力に課題があることが判明した」などという報道が、NHK・民放、新聞各社問わずあらゆるマスコミによって、まことしやかに流されることになるのだ。
02:09:49

テストのたびに判明するのは、「子どもたちの」ではなく、「作問者の」学力不足なんだけどな。私から見れば。
02:10:31

そして、この全国学力テストの外部委託費だけでも、ベネッセに2,132,550,000円、株式会社内田洋行に2,451,750,000円が支払われている( http://t.co/TZNHbaNfpg )。どこから? いわずもがな。……という陳腐な批判も、忘れずに書いておく。
02:12:12

公開是非ばかりに目を向けられてしまう学力テスト、「内容」にこそ目を向けよ、という主張を発表したいんだが。
03:13:04

朝日新聞なら、「私の視点(オピニオン)」か。
03:18:17

やーーーっと送ったよ、朝日新聞オピニオン投稿。1100字。絶対、載るよ。待っててくれ。ちなみに非公開でないと載らないのでネットにはアップしません。
06:08:38
Content from Twitter
ここから翌日。

さて、まずは小6対象、国語Bから……(眠い)。
14:28:05

小Bの大問1(面倒なのでページ表記やめた)。相変わらず不自然な演出系、今回は「討論会」。細かいことは置くとして、この司会者、相当頭いいよな(笑)。2ページ冒頭のまとめ方、小学生には到底無理。中学生でもきつい。
15:06:53

「ここで、一度整理をします。それぞれの主張に共通する観点が2つあります。一つ目は( ア )。2つ目は、記念に残る卒業文集のあり方です」とか。4人の発言を一度聞いただけで共通の観点を2つにまとめて整理できる。こんなに優秀な子どもは、500人に1人いるかいないかだ。
15:09:05

問題を作るためにこしらえた感が、いつも以上に強い。実に違和感。まさに「演出」。
15:10:47

小Bの大問2。これは悪質。正解すること自体はかなり平易なのだが、この複雑さは子どもを無駄に焦らせる。まじめな子ほどしっかり読み込み、時間を奪われる。そして本来の力を発揮できなくなるかもしれない。
15:32:14

この複雑さを見てほしい。もう、どうしようもない。読む気が起こらない。 http://t.co/mkf14hmdRc

15:37:32

承前)この設問の出題趣旨は、【科学に関する本や文章を効果的に読み,分かったことや疑問に思ったことを関係付けながらまとめて書くことができるかどうかをみる】だそうだ。そんな力、まったく試せていない。単に、「答えとなる箇所を効率よく抜き出す力」を試しているだけだ。
15:41:45

記述設問では、採点効率のためにこういう類の指示があることがきわめて多い。これも、複雑で疲れる。いくよ……

原田さんと野口さんは、書いたふせんを整理しながら【疑問】に対するまとめを書いています。【野口さんのまとめ】の[ B ]の中には、どのような内容が入ると考えられますか。(続く
15:47:17

続き)ふさわしい内容を、【原田さんのまとめ】の書き方を参考にし、次の条件に合わせて書きましょう。

「書きましょう」なんてやさしく言っているが、その条件が、これだ。(続く
15:48:12

〈条件〉
【野口さんのふせん】3と4の両方の内容を使って書くこと。
【野口さんのふせん】3の内容については、【科学読み物】の――部の2文を1文にして書くこと。また、4の内容については、「例えば」という言葉を使って書くこと。(続く
15:49:36

続き)
書き出しの言葉に続けて、百字以上百二十字以内にまとめて書くこと。なお、書き出しの言葉は字数に含む。
15:49:46

これらの条件を注意深く落とさずに書くだけでも小6には大変だ。そこで問われるのは、【科学に関する本や文章を効果的に読み,分かったことや疑問に思ったことを関係付けながらまとめて書くことができる】力ではなく、【出題者の指示を忠実に守り、期待される答えになるよう本文を切り貼りする】力だ。
15:51:33

そして、いよいよ小Bもクライマックス。最悪なのはこれだ。大問3。今日は面倒なので省いているが昨夜つけていた評定でいけば、「D」レベルの悪辣問題だ。まど・みちおの詩「タンポポ」と、「たんぽぽさんが呼んだ」を勝手気ままに読ませて、勝手気ままに書かせる問題。
15:56:28

まず冒頭、「北川さんの学級では、(略)詩1と詩2を比べて読み、考えたことについてグループに分かれて交流することにしました」。いやー、「交流」はないでしょ、「交流」は。……で、本題。
15:58:48

詩の本文は著作権上アップできない(国立教育政策研究所のPDFでも消されている)ので興味のある方はネットでググってほしい。著作権を無視したテキストがたくさん見つかる。
16:01:30

まずわき上がるのは、【グループでの交流の様子】に挙げられている、各種の「解釈」に対する疑問だ。「あーら ひょーら ぷーら しょ」を、ある子は「たんぽぽさん」の声だとし、ある子は「みんな(人間)」の声だとし、ある子は「しょ、だけが人間」だとしている。
16:04:40

まあ詩文はたしかに解釈が多様性を持つことはある。しかし、それをテストに出すのであれば、一様な解釈へと収斂させていく必要がある。ところがこのテストは、それをしていない。いかにも、「先生方、こういうふうに授業すればいいんですよ」と、国立教育政策研究所がアドバイスしているかのうようだ。
16:11:16

国立教育政策研究所は、「二つの詩を比べて読むことを取り上げたのは,今回が初めてである」と誇らしげに書いているが、その良さがほとんど発揮されていない。
16:17:40

問いは4つあるが、1~3は単純すぎる。そして、例によって出題趣旨にそぐわない。「二つの詩を比べて読み,表現の工夫を捉えることができるかどうかをみる」とされている問1は、ただ単に、「ワン」「モーモ」を抽象化させるだけの問いになってしまっている。選択肢は、鳴き声、気持ち、名前。
16:18:27

イヌは「ワンフォフォ」、ウシは「ワンモーモ」と表現しているところは、それぞれの動物たちの[ ア ]を「タンポポ」という言葉の響きに重ねているようだわ。

この[ ア ]を、先の選択肢から選ばせるだけ。これに答えられれば「詩の表現の工夫を捉えられる」という判定になってしまうわけだ。
16:22:22

こういう問いをして「活用力を見るB問題」と言い切る。あり得ない。
16:22:34

問2,3も同様にくだらないがもはや放置。問題は問4だ。
16:23:43

出題趣旨はこうだ。「二つの詩を比べて読み,自分の考えを書くことができるかどうかをみる」。そもそも、「自分の考えを書けるかどうか」を、どうやって採点・評定するというのか。そこからして間違っている。
16:25:10

【あなたは、詩1と詩2をくらべて読んで、どのようなことを考えましたか。次の条件に合わせて書きましょう。
詩の内容や表現の仕方などについて、共通点やちがう点を取り上げて書くこと。
「たんぽぽ」と「まど・みちお」の両方の言葉を使って書くこと。
八十字以上、百字以内にまとめて書くこと。
16:27:23

】が抜けた。
16:28:21

模範解答を示す。
【2つの詩は、まど・みちおさんの植物や動物を愛する気持ちが伝わってくるという点で共通していると考えました。たんぽぽや動物たちの仲のよい様子を想像することができて、心が温まり、やさしい気持ちになりました】
これが、全国学力テスト(小)の最後を飾る設問の模範解答だ。
16:32:15

こ・れ・で・い・い・の・か……。
16:33:06

やはり、国語科とは国にとっては「道徳科」なのだ。
16:34:28

この問題を作った人はテクスト論も知らないのか。あるいは知っていて無視したのか。話者という言葉を知っているのか。それともあえて無視したのか。ともあれ、「まど・みちお」という言葉を必ず使えという指示がある時点で、そういうところを疑いたくなる。
16:36:00

同じ雰囲気を持つ似通った2つの詩を比べさせるというのなら、共通点ではなく相違点をこそ書かせるべきだ。共通点を書かせても、「曇のち晴」と「曇ときどき晴」を比べてどちらも「曇と晴があります」、と書かせるくらいの、バカバカしい答えにしかならない。現に、模範解答がそうなっている。
16:38:48

ところがこの設問は、共通点と相違点どちらを書いてもよいことになっている。「共通点やちがう点を取り上げて書くこと」だからな。「や」だからな。これは、相違点に限定すべきだった。もし「や」で通すなら、「共通点だけ、相違点だけ、あるいはどちらも」の三つがあり得ることを明示すべきだった。
16:42:34

「や」に気がついて、どっちでもいいのかな、と考える子は、10人中2人くらいだ。いや、全設問の終盤、時間切れギリギリのところだから、1人にも満たないかもしれない。
16:43:46

共通点をとらえる勉強は、差異が大きく意味の離れたものをくらべるときにこそ有益になる。エレベーターとバスの共通点とか。
相違点をとらえる勉強は、差異が小さく意味の近いものをくらべるときにこそ有益になる。幸運と幸福の相違点とか。
16:48:16

エレベーターもバスも、自分の思うようには止まってくれない。目的地までの時間が読めない。混んでいると遅くなり、空いていると早くなる。等々。
16:50:24

幸運は短時間、幸福は長時間。幸福の入口には幸運がある。等々。
16:51:00

ところで、こういう内容の答案だったら、どう採点するんだろう(文字数はとりあえず無視して書く)。

まど・みちおさんの「タンポポ」という詩は、いろいろな動物が出てきて、いいと思います。「たんぽぽさんが呼んだ」のほうは、あーらひょーらぷーらしょとか、踊っているみたいです。
16:58:17

まず、指定された「まど・みちお」の使い方が、おそらく出題者の意図に沿っていない。生き物を愛している作者まど・みちお、というつながりを要求していたんだろうが、大半の子は、こんなふうに、詩の作者まど・みちお、としかとらえずに書いただろう。でも、バツにはできまい。
17:00:08

そして、先の答案を、採点者は「共通点を述べている」ととらえるのか、「相違点を述べている」ととらえるのか、あるいはどちらも述べていないととらえるのか。採点者の国語力に委ねられてしまうことだろう。
17:03:03

前半・後半、どちらも前向きにとらえていると考えれば、共通点とも言える。しかし、共通点を引き出すというのは抽象化の作業だから、その抽象語が1つでも書いていないといけない。どちらも「いい」ですとか、どちらも「楽しい」ですとか。しかしそういう抽象化の痕跡がないので、本来はバツになる。
17:04:57

一方、相違点を書く場合は、必ず「共通の観点」のもとにくらべなければならない(詳細はこちら→ http://t.co/MtJyfNLsB6 )。先の答案は、「いいです」「踊っているみたいです」となっており、食い違う。前者なら「悪いです」、後者なら「踊っているようには見えません」。
17:09:51

だから相違点を述べているとは言えない。しかし、少なくとも字面では、違ったことを書いている。だから、採点者の中に、「共通の観点をチェックする」という基準がないと、こういう答案は、マルになったりバツになったりして揺らぐことになる。そのあたり、国立教育政策研究所の解説には載っていない。
17:10:59

そういうわけで、この小B大問3は、非常に悪質である。問おうとする能力が拡散しており、採点基準も拡散している。こんなひどい問題によって、詩の解釈力が判定されてしまうこととなったわけである。
17:16:13

ところで、ひとつだけほめておく。きのう書いた小Aの中に、こういう指示があった。【――部を、「~たり、…たり」という表現を使って書き直しましょう。(解答には、「~」と「…」の記号は必要ありません)】
この、(解答には、「~」と「…」の記号は必要ありません)が秀逸だった(笑)。
17:18:06

こういう設問の趣旨を読めずに、「~たり…たり」とモロに書いてしまう子というのが、一定数いるのだ。そういう、現場指導者にしか分からないような要素を取り入れていたのは、偉いと思った。しかしそれにしては、子どもの思考回路を無視した複雑怪奇な設問が多すぎる。
17:19:40

まあ、(解答には、「~」と「…」の記号は必要ありません)という文言が入ったのは、過去の記述設問の中でそれが多数書かれてしまったという苦い経験があったことだけが要因なんだろう。それを、「出題者のセンスが良い」と一般化するには、まだまだ足りない。
17:21:16

さて、ようやく小学生が終わった。中学生、どうしようか。全部解いたんだけど。
17:22:46

中3向けのほうは、小6向けにくらべれば、かなりまともである。だから、もうやめよう。とはいえ、小中問わず言えることをいくつかだけ、書いておく。
17:31:24

長ったらしい本文、長ったらしい設問(指示)を読ませる割に、設問数が少ない。「え? こんだけ?」と気が抜ける。ずる賢い子は、先に設問を読み、該当するところだけを拾い読みして解いただろう。生真面目な子は、少なくとも正解するだけの能力があるにもかかわらず時間切れになっただろう。
17:34:55

結局、学習指導要領に束縛されており、指導要領の項目ごとに設問を作成しているから、そうなる。やはり、諸悪の根源は学習指導要領。そのへんは、今朝送った朝日新聞への投書にも書いておいた。
17:35:34

そして、多くの小中学生が抱いたであろう違和感は、これだ。「ふ~ん、学力テストって、変わってるなあ。いつも学校や家や塾でやってる勉強と、ずいぶん違うなあ」。これでもかというくらいの演出・脚色。これでもかというくらいの複雑な本文・設問。しかし、選択式問題は驚くほど平易。
17:38:03

この「変わった国語テスト」のありようが、あるべき国語授業の理想形だとは、到底思えない。その根拠は、これまで書いてきたとおりだ。となれば、このテストは、単なる変わりモノ。「変わった理想」も世の中にはあってしかるべきだが、今回は理想ではなくただの変わりモノ。それを224万人が受けた。
17:41:01

こんなもんにしとこう。

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