「へべれけに酔っぱらった」なんて、よく使う言葉だよね。

意識や記憶を失うほど酒に酔ったさまを表す言葉だが、わしゃ、これは純粋の日本語だと思っていたが、外来語だという説もあるんだね。

 

外来語説は、ギリシャ神話の主人公である全知全能の神ゼウスの話になるよ。

彼には、ちゃんとした奥さんがいたんだが、生まれついての浮気性で、自分のお姉さんでヘーラーという、とても美人な女神も妻としたんだそうな。

 

 

このゼウスとヘーラーとの間に生まれたのが、美しい娘、ヘーベーなんだよ。

 

彼女は「若返り」や「永遠の若さ」を司る女神として、青春の女神ともいわれるよ。

ヘーベーの役割は、お酒を神々に注いでまわることだったが、あまりに美人なので、神々もついうっかり飲みすぎて、へべれけに酔っぱらってしまったんだそうな。

そのことから、「ヘーベーのお酌」という意味の 「Hebeerryke(ヘーベーリケ)」 というギリシャ語が、「へべれけ」という日本語の語源になったという説なんだよ。

 

もう一説は国産語説で、「へ」なのか「べ」なのか読めないくらい、酔っぱらった状態からきているという説だが、あまり面白くないよね。

 

ところで、「へべれけ」に酔う様を「ぐでんぐでん」ともいうよね。

これは、立派な方のことを「貴殿」というのに対して、泥酔して正気を失っている愚かな人を、「愚殿(ぐでん)」とよんで、これを繰り返して「ぐでんぐでん」となったそうだよ。

 

泥酔という言葉は、中国の古典が由来なんだね。

泥酔の「泥」は中国の「異物志」に出てくる空想上の虫なんだよ。

この虫は、水がないと泥のようになるんだ。

 

「異物志」には

「南海には骨がない泥(でい)という虫がいる。泥(でい)は水の中でしか活動ができず水がないと酔ったような状態になってしまう」

という内容の漢文が残されているよ。​​

この話から、「泥酔」とは、この泥(でい)のような状態になるほど酔ってしまうことを表す言葉になったんで、泥んこ遊びとは関係ないんだよ。

 

まぁ、酒は百薬の長だが、飲みすぎないように気を付けようね。