フーテンの横チン -252ページ目

霧の中の棚田と桜


2014・4・5~愛媛・東温市~
 その風景を見て、たまには雨もいいなと思った。過日、ある仕事で出会った人から「東温市に棚田がある」ってことを教えてもらった。松山市の隣にあるなんて、それまでまったく知らなかった。松山でもソメイヨシノが散り始めたし、いつ行くの?いまでしょ!ってなことで、伊予鉄・横河原駅からバスで井内北間(きたはざ)という山間部へ。1日4往復のみで、日祝日は1本もなしという場所に位置する。到着前から、雨脚が強くなったが、そんな沈んだ気持ちを吹っ飛ばす絶景が目の前に広がっていた。
 桜はないかなあって上の方を見てみると、大きなソメイヨシノの木を発見。坂道を登って根元まで行くと、ラッキーなことに、ほとんど散っていなかった。さらに坂道を登って振り返れば、まるで湯気のように、霧が広がっていた。霧と霧の間に棚田が見える。こんな景色は、街中では絶対に拝めない。上の写真を撮って5分も経たないうちに、目の前は真っ白になって、棚田がまったく見えなくなってしまった。なんだか、ジブリの世界に入り込んだような感覚に陥った。
 5月上旬になれば、田んぼに水が入り、苗が植えられる予定。陽光が差し込むと、水面がキラキラと輝き、陽が暮れれば、夕陽に染まった棚田を見られるのだそうだ。霧の中の棚田もいいけど、今度は傘を差さず、スカッと青空の下でルンルン♪とスキップを踏みながら、緑広がる景色を見たいなあ。

無情の桜吹雪


2014・4・4~愛媛・松山市~
 悪い予感は的中した…。通勤途中にあるお堀をのぞいたら、ソメイヨシノの木の下が薄ピンク色に染まっていた。散った無数の花びらが浮かんでいたのだ。やっぱりな…。前夜、雨が降り続く暗闇の空を眺めながら「頼みますから、花を落とさないでください」とお祈りしたんだけど、その思いは届かなかった。

 がっくりとしたところに、とどめを刺すように強い風が吹いた。「ああ、やめてくれ…」。無情にも、桜が飛ばされ、空に舞い上がった。いつかは散るってことは分かっちゃいるんだけど、やっぱり見たくはないよね…。いつまでも吹き続ける風、そして飛び続ける花びら。そんな光景を眺めながら、マスク姿のオッチャンは心の中で泣いていた。

暗闇の中の観覧車~その6~


2014・4・3~愛媛・松山市~
 ソメイヨシノと観覧車を同時に見たい。開花前から、いろんな場所を動き回っていたけれど、なかなか見つからなかった。ありそうでないのが、撮影スポットなのだ。夕方から、雨が降り始めた。「やばい、桜が散ってしまう…」と心配しながら、帰り道に自転車を走らせていると、ようやく見つけた。石手川沿いを立花方面に走ると、桜の木の上に観覧車が現れた。
 散りそうで散らない。今年のソメイヨシノは粘り強い。今週末にはないかな…と思っていたが、なんとかもちそうだな。そう思ってアパートに帰ったら、夜になるにつれて、雨脚が強くなってきた。週末に撮影に行きたい場所があるんだ。もう少し我慢してくれ…。そんなことを願いながら、風呂に入る態勢に入った。