【漫画】忍者武芸帳 | 本を片手に街に出よう
2006年02月09日

【漫画】忍者武芸帳

テーマ:Book Review


白土 三平
忍者武芸帳―影丸伝 (1)

 まだ小学生のころ、貸本屋というのがあって、よく自転車で漫画を借りに行った。
 そこで出会ったのが、白土作品群。ほかにもカムイ伝、サスケなど妙にハマって読みふけったものである。

 一般的にはカムイ伝が代表作だと思うのだが、自分は白土作品の中ではこれが一番読み返したくなる頻度高。

 なんたって魅力的なキャラが満載。
 しかもそれぞれがヒーローじゃないのに、なんていうか、生き様がめちゃくちゃかっこいいのだ。

 結城重太郎は主人公と思いきや腕切られるし、影丸も最後は「またマジック炸裂か?」と思わせぶりながら五体もがれて死んでしまうし、もはや妖怪一族のような「影一族」も蛍火の毒で一網打尽。そしてヒロインの蛍火と明美は壮絶な嫉妬合戦の末、かなりスプラッタな最後を遂げる。

 1959年12月~1962年11月20日発行の漫画にこれだけ流血を持ち込んだのは凄いと思う。まさに劇画の源流と呼ばれるだけある。微妙にエロティックな描写もあるし。それがいやらしくないのがまた凄い。蛍火が最後に禊をするシーンとか。

 この作品は重太郎の成長物語でもあるし、武士や農民、忍者達の群像劇でもあるし、愛憎と復讐の物語でもある。さまざまな因縁と運命の糸が絡み合って徐々に編み上げられ最後にカタストロフィを迎える。白土作品でハッピーエンドはない。かなり無限ループ感全開。それがまた深くていいんだな。
 パルミロ・トリアッティの言葉を引用した影丸の台詞「われらは遠くからきた。そして、遠くまでいくのだ」なんてのもかなり諸行無常感をかもし出し、何ともいえない哲学的な作品なのである。


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