2006年01月14日

【小説】起業前夜

テーマ:Book Review


高任 和夫
起業前夜〈上〉
起業前夜〈下〉

 バブル崩壊後、意気消沈の真っ只中にある日本中を更に奈落の底に叩き落した驚愕の大事件「山一證券 涙の自主廃業」をMotifにした傑作企業小説。

 慢性的な「飛ばし」が徐々に会社を蝕み、静かにゆっくりと崩壊しつつある大企業に身をおく主人公。会社はどうなってしまうのか?何故こんなことに?自分は何をしたいのか?自分の幸せとは何だったのか?を自問自答しつつ、悩み考えぬいて、かつて自分が輝いていたころの愛すべき会社を取り戻すべく、ついに会長に「会社改善計画」なるものを直言するに至る。
 が、その計画は評価されつつも実行には移されず、逆に主人公を飲み込んだのは事なかれ主義と醜い足の引っ張り合い。

 上司の俺を差し置いてよりによって会長に直訴するとは何事だ!ってオイオイ上司なんだから部下をサポートしてやれよ!
 自分も中小企業ながら組織に属するサラリーマン、あなたの苦悩は痛いほど分かります。

 上司との軋轢、左遷、ヘッドハンティングなどの各種イベントを経て、主人公が何となく頭の中に描いていたある計画が輪郭をくっきりと浮かび上がらせてくる。

 そしてついに、Xデーが訪れた…

 遠く離れた左遷の地で、自分の会社の本社ビルに捜査官がどかどかと乗り込んでゆく光景をTVで見る。逮捕される上層部の面々、興奮して実況するアナウンサー、フラッシュの渦…

 上層部が去って会社の実権を握りつつある元上司に「一緒に会社を再建しよう。本社へ戻ってほしい」と呼びかけられるが、主人公が出した回答は-

 「この会社での経験を活かして独立します」 予定調和ながらも、様々な胎動を経ての、この物語のクライマックスシーンである。

 そしてこの物語のもうひとつの魅力は、それはまさに個性的で魅力あるキャラ達の活躍。

 一代で都内有数の居酒屋チェーンを築き上げた強烈な行動力を持つベンチャー社長、才色兼備で主人公にゾッコンの凛とした女性部下、かつて主人公が最強軍団を率いて活躍していたころの中心メンバであり今も主人公を慕ってやまない関西男。

 他にも悪役、端役に至るまで、「あーこんな奴いそうだよね確かに」というキャラが多数出演します。

 ちょっとありえねーだろ、この人脈の恵まれ度合いは!って気がするけど、それはそれ。ぐっと感情移入して一気に読めるのでまあオッケーでしょ!

 特に独立を悩んでいるそぶりの主人公に対して才色兼備女性部下が「川を渡りましょう」と決断を促す部分、結構好きです。こんな部下がいたら絶対ホレるね。

 最後は主人公もふっきれたのか、銀行頭取や外資のヘッドハンターをも唸らせる深遠な計画の一端をかいまみせつつ、独立後の取引関係を担保する交渉、キレ者っぷりを魅せます。
 いや~もやもやがふっとぶ、いいラストですね。

 「起業前夜」というタイトルも絶妙。夜明け前が一番暗い。しかし夜明けは必ず来る。


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