2006年01月09日

【読み物】情報の文明学

テーマ:Book Review


梅棹 忠夫
情報の文明学

 超々ベストセラーです。

 1962年(!)に著者が発表した論文「情報産業論」を骨格にしつつ、さまざまな補助論文や関連するインタビューの記録などから構成されています。

 この情報産業論というのが、すごい。
 40年以上前に、ここまで現代を示唆するなんて。

 1962年というのはどういう年だったか、ちょっと調べてみました。

 キューバ危機がありました。
 マリリン・モンローがハリウッドの自宅で睡眠薬を飲みすぎて死亡。
 「無責任男」植木等が大流行。
 ビートルズ、デビュー。
 テレビ受信契約者1,000万突破(普及率48.5%)。

 テレビがやっと大西洋間のテレビ中継に成功!とか言っているような時代に、この人は論文で何を語ったか。

 まさに「今」「現代」。この多様性を重んじる時代、物質よりも精神の満足を追及する時代、インターネットによる情報伝達コストが極小化された時代、を完璧に捉えて、農業→工業→精神という文明の進化論的な見地で語っています。

 更には、情報産業が全盛期を迎えたら、どうなるか。そのとき日本はどうやって生き延びていけばよいか。国土が狭い日本は情報伝達インフラを整備するコストも安くつくのでこれから有利である、とまで言い切っています。

 お隣韓国が先行したブロードバンド化も、ご存知の通りここ日本では近年物凄い勢いで進み、今や世界でも有数のブロードバンド大国となりました。それがここ最近数年の話。この人がそれを言っているのは1960年代。

 もはや予見とか予測とかいうレヴェルではなく、「予言者」の次元ですわ。

 収録されている論文は多数あり、放送業に関する考察、情報産業時代の価格決定論理、五感の産業化、「第三の波」との対比などなど、珠玉の論説が満載。

 この本を読んで、IT・インターネットが様々なビジネスに入り込んできた現在を眺めると、まさに目からウロコというか、現代のビジネス環境に起きているいろいろなことの意味・意義、そして今後の方向性が再発見出来ることうけあい。

 ~~~
 広告業は「企業がつくりあげたモノの宣伝広告」であって広告業は要するに工業の寄生虫的存在ではないかという見方がいまだにあって、少し不況になれば、まず宣伝広告費を削るという考え方、これは従来の工業的発想法の考え方がこれなのです。
 わたしはこれが逆転するかもしれないと思っています。
 広告宣伝がまず根幹にあって、それに応じて、それに合うようにモノをつくってゆくという時代がくるのではないか。
(本書より引用)
 ~~~
 たとえば、レジャーについて考えても、今日では、ただ「かんがえる」こと自体がものすごいレジャー活動ではないかというふうになってきた。
 レジャー産業が、ボーリング場をつくったり、ゴルフ場を造成したりといった施設造りから、「なんにもつくらない」という空間設計をやるようになったら、それこそ大きなレジャー空間だとおもうのです。…そこにはいれば、静寂が確実に保証されている。そういった空間が、一種の知的生産基地になるのです。
(〃)
 ~~~

 かなり知的満足度高。少しでも知的に、クリエイティブに仕事をしようと考えるなら、必読です。


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