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2006年08月31日

【小説】翳りゆく時間

テーマ:Book Review


日本ペンクラブ, 浅田 次郎
翳りゆく時間(とき)

 優雅で激しく、メランコリックでせつなく――。大人の想いを描き切った傑作短編7篇。by新潮社

 いいっすねえ。こういうの。

 りんご追分(江國 香織)…未来のない愛に苦しむ女は夜明けに浄化される。ってなんかこう、細かい妥協の積み重ねが、もとに戻らないところまで行き着いてしまった感じが、何とも退廃的でいい。

 煙草(北方謙三)…過去を清算するために、男は異国へ旅立つ。世代も境遇も違う男同士の微妙な距離感が心地よい。この人達、このあともずっと浮き草のように異国をさまようんだろうな、という無限ループ感も感じさせる。

 みんなのグラス(吉田修一)…迷いを隠して、青年は旧友との再会に臨む。いいねえ。必ず学生時代には男2人、女2人の仲良しグループってのが出来ますよね。で、だいたい誰ともくっつかずに離れていくっていう。ノスタルジック。

 スモーカー・エレジー(阿刀田高)…ほのぼの系。この本の中では一番平凡かも。でも学校教育のウンチクは役に立ちます。

 マダムの喉仏(浅田次郎)…伝説のマダムは秘密を抱いて孤独に逝く――。この人はホントこういうワンナイトスタンド系というか、一夜の夢のおわりみたいな話が上手いです。ほんとにこういう人(マダム)がかつていたのかも、なんて錯覚させる。

 天国の右の手(山田詠美)…姉の夫に恋する女はパラダイスを夢見る。なんか、いろんな意味で痛いです。女性ってホント内面に宇宙を持ってますね。ブラックホールに落ちていくような感覚。

 煙草(三島由紀夫)…おおっと!最後はそうきたか!やはり前出の6人と比べると異質。この人はホント、青臭い哲学臭が漂っているね。きらいじゃないですが。順番的には、本作は途中のアクセントで、最後は浅田次郎でよかったんじゃあ…


 とまあ、無理やり、それぞれの感想めいたことを書いたが、読後感はタイトル通り。怠惰で退廃的ですらある、過ぎ去りし時間へのノスタルジー。
 良質の小説を詰め込んだという意味では、かなりお買い得な一品。


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2006年08月29日

【小説】本陣殺人事件

テーマ:Book Review


横溝 正史
本陣殺人事件

 角川文庫から「金田一耕助ファイル」というシリーズで再販されてたので、若かりしころ何度も読んだにもかかわらず、買ってしまった。

 帯には、綾辻行人の言葉「読んでいない、では済まされない。全人類必読の名作」といささか仰々しいコピーが。他のものを見ると、宮部みゆきやら、北村薫やら、著名作家のコピーがずらり。こっちのほうが興味深いぞ。

 この本陣殺人事件は、横溝作品に初めて金田一が出現した中編だ。
 その後の、獄門島、犬神家の一族悪魔の手毬唄などは言わずもがな映画化されているだけあって原作は映画以上に傑作だと思うが、この本陣殺人事件は初期の作品らしく、トリックは割とトンデモ発想、他の探偵モノの引用多数、といったステレオタイプな探偵小説っていう印象が強い。
 だが、事件の動機といったら、その後の金田一モノに通ずる、日本の因習、口伝、血縁の妙がどろどろに積層された、何とも言えない怨念の渦巻き具合。



 思うに、この昭和の時代、というか、太平洋戦争の時代は、戦国から江戸に連なる封建社会の矛盾と、明治維新後急速に発展した日本の社会の歪み、そして軍国主義で沸点を迎え米国に完膚なきまでに叩きのめされた喪失感、そういった時代の流れというか、背景が根底に横たわっていて、人の心を狂わせやすい土壌があったのだろうと推察する。

 そんな昭和史の暗黒面が、横溝作品をひきたてるのだ。

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出版社/著者からの内容紹介
 一柳家の当主賢蔵の婚礼を終えた深夜、人々は悲鳴と琴の音を聞いた。新床に血まみれの新郎新婦。枕元には、家宝の名琴「おしどり」が…。密室トリックに挑み第一回探偵作家クラブ賞受賞。(中島河太郎)
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2006年08月28日

ついにGoogle Office

テーマ:IT
Google Apps for your Domainが発表された。
Gmail、Talk、Calendar、Page Creatorが使えて、ストレージも提供。
まもなく表計算とワープロが合流予定。

当然、お互いがGmailなら添付したデータはネット上のリファレンスが送られるんだろうな。
言わば超大規模の、世界標準グループウェアだ。

これからは、ネットワークストレージ専門のサービスなんかも、ウケるかもね?
フツーのDISKと同じように使えるWebAPIなんかがあったら、なおいいな。

ストレージのURL+ファンクション+ユーザアカウントでのアクセス制御。
むむ…すごく考えてみたいぞ。このアイデア。

誰かとっくに考えているかな?


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2006年08月27日

シン・シティ

テーマ:ブログ


ジェネオン エンタテインメント
シン・シティ スタンダード・エディション

 別名オーシャンズ11・ダークサイド。っていうくらい、有名どころが多数出演している、漫画原作の実験的ハードボイルドムービー。

 なんたって、ブルース・ウィリス/ミッキー・ローク/クライヴ・オーウェン/ジェシカ・アルバ/ベニチオ・デル・トロ/イライジャ・ウッド/ジョッシュ・ハートネット /ブリタニー・マーフィ/デヴォン青木/ロザリオ・ドーソン/ニック・スタール/マイケル・クラーク・ダンカン/ルトガー・ハウアー/マイケル・マドセン /ジェイミー・キング/アレクシス・ブレデル/…って11人以上いるケド、誰が主役ってワケでもなく、結構贅沢な使い方をしている。

 それもそのはず、基本的には、ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェンの3人がシン・シティで繰り広げるハードアクションが全編で炸裂するが、3人が絡むことは殆どなく多極的展開。ジェシカ・アルバがストリッパー役で踊っているバーだけが、唯一この物語が同じ街で成り立っていることを表している。

 原作者のフランク・ミラーが絡んでいるだけあって、世界観、映像、キャラどれをとってもイメージは原作そっくりとのこと。#まあプロモではそういうこと言うんだよね
 全編モノクロ、かつ非常に陰影の濃い映像で、女性のドレスとか、印象深い部分だけ鮮明なカラーで色づけした映像が何ともダークでレトロな美しさを感じさせる。

 カラー映像でやったら、きっとグロさとバカさが丸出しで「KILLBILLフルスロットル」に成り下がったことだろう…実際、作中のキャラ達も、所詮オトコは暴力に訴えるバカばかり、な展開。

 いかにも漫画な殺しのシーンや、激しくモノローグの多い独り言系の演出は、さすがタランティーノ・ファミリーの匂いがプンプン。
 しかしタランティーノ監督作よりは 会話<アクション であるので、テンポは良い。
#ちゃっかりタランティーノもクレジットされているんだよな~


 さて多数いるキャストの中でも、印象的なのはこの人達。

 ミッキー・ローク…もともとはブルース・ウィリスとちょいかぶってそうなキャラだけど、今回はものすごーくマッチョでごつい男に改造されてます。唯一心を寄せた娼婦の復讐をすべく街を闊歩する。

 イライジャ・ウッド…そしてその復讐相手、シリアル・キラーがこの人。眼鏡がモノクロ映像に妙に白く輝き、いかにもサイコな雰囲気を盛り上げる。アクションシーンの体さばきもなかなか。でも台詞ナシです。

 デヴォン青木…女殺人マシーン。手裏剣飛ばすわ、弓は引くわ、刀は抜くわで、あれ?キタノ座頭市ってモノクロ映画だったっけ?と見紛うばかりの高速剣さばきを発揮。この人も、台詞ナシだ!

 ジェシカ・アルバ…カワイイ!さすが、元祖エロカワ。出番はあんまりないのだけど、おいしいヒロイン役です。

 その他、ベニチオ・デル・トロに至っては、ヒューマニズム全開のアナタが良くOKしたな!というくらい、どうしようもなくチンピラで無様な役柄を怪演。


 さてこんなキワモノ系でも、続編が決定しているようだ。
 エキセントリック度が増して、単なる「KILLBILLモノクロ版」と化すのか?それとも映像美をさらに追求して21世紀のフィルム・ノワールにまで昇華できるか?興味はつきない。

 続編は映画館で観ようっと。


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2006年08月25日

【小説】アイルランドの薔薇

テーマ:Book Review


石持 浅海
アイルランドの薔薇

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出版社/著者からの内容紹介
 南北アイルランドの統一を謳う武装勢力NCFの副議長が、スライゴーの宿屋で何者かに殺された! 宿泊客は8人――そこには正体不明の殺し屋が紛れ込んでいた。やはり犯人は殺し屋なのか? それとも……。宿泊客の一人、日本人科学者・フジの推理が、「隠されていた殺意」をあぶり出してゆく!
 本格推理界に衝撃を走らせた期待の超新星の処女長編!

内容(「BOOK」データベースより)
 南北アイルランドの統一を謳う武装勢力NCFの副議長が、スライゴーの宿屋で何者かに殺された!宿泊客は8人―そこには正体不明の殺し屋が紛れ込んでいた。やはり犯人は殺し屋なのか?それとも…。宿泊客の一人、日本人科学者・フジの推理が、「隠されていた殺意」をあぶり出してゆく!本格推理界に衝撃を走らせた期待の超新星の処女長編。
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 ふれこみ通り、コテコテのミステリ。
 アイルランドという舞台設定がヒネリが効いていて楽しめました。

 正直、北アイルランド問題などは詳しくないし、アイルランドと言われてもU2くらいしか出てこないのですが、何となく日本の田舎に相当するような、素朴ながらも、土着感というか、因習縛り感というか、英国に蹂躙された怨念が根底のところに渦巻いているような、そんなおどろおどろしい印象があって、ミステリの土壌としては結構イケてるかも。(アイルランドの皆さん、テキトーな感覚で書いてしまってます。すみません)

 ところで、著者が日本人だからだろうけど、主人公の日本人科学者フジはすごくカッコよくキャラが作られてますね。
 探偵でもないのに、注意力と洞察力ありすぎ。しかも咄嗟の判断とNCFの兵士をも手玉にとる体さばき、只者ではなさすぎ。作中でも、さりげなくスゴイ人に惚れられるし。

 途中の犯人探しの議論は少々中だるみしますが、あまり話は長くないし、途中でとってつけたように更なる殺人?が起こるしで、一気に読めます。

 最後は、「ああ?コイツが?」「なにい!コイツか!」「おっとコイツもか!」みたいに、一見、アイルランドの田舎の山荘に偶然あつまったように見えたキャラ達が次々に…

 超新星!ってことで売り出し中の著者。次々書いているようなので、他の作品にも期待。


BGM->U2"Achtung Baby"1991


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