シューベルト「魔王」歌詞とセノオ楽譜 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
みずすまし亭通信-魔王
シューベルト:魔王(セノオ楽譜)大正11年

「セノオ楽譜」は西洋音楽の普及に努めた妹尾幸陽が、明治43年より発行を始め累計で1000曲を超える。その表紙絵に当時の人気作家を起用し、特に竹久夢二は大正5年より昭和2年まで280曲以上も手がけ、今でもコレクターの注目を集めている。こちらはシューベルトの歌曲「魔王」で、ネット上で表紙絵は竹中英太郎のクレジットを見ることがあるが、サインが違う。別人だろう。ゲーテの詩を堀内敬三が訳している。

 吾児(あこ)、何にはおののく?
 見ずや父、魔王を、いかめしき魔王を
 吾児、そは狭霧ぞ

 父よ父よ、見よそこに、魔王の娘立てり
 吾児、吾児、汝(な)が見しは、黒く繁る楊(やなぎ)ぞ

 いとし児、吾と来れかし、汝が厭ふも吾きかじ
 父よ、父よ、護りてよ、魔王我を捕えぬ

愛児と背負う父の会話が徐々に切迫し「可愛らしい子だ。わしの娘がおまえを待っているよ。おまえのために夜ごと歌い舞ってくれようぞ」舌なめずりする魔王によって、子どもの命は奪われる。

 わが子よ、なぜそんなこわそうに顔を隠すのだ?
 お父さんには魔王が見えない? 
 冠をかぶって、しっぽの垂れた魔王が?
 息子よ、あれはたなびく霧だよ

現代語訳だとこんな感じで、堀内訳の方がひしひしと緊迫感が迫ってくる。と、ここまで書いて、前にも同じようなブログをアップしたような気が、するな。