木版画の校合摺 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
みずすまし亭通信-太閤記2522
        校合摺

最近のコレクションから。版画の校合摺(こうごうすり)と思われる。絵師の下絵を元に版彫りによる初摺りで、いったん絵師に差し戻し、絵師はそれに色の指定をする。上部には「赤つぶし文字白ヌキ」と版の指定が入っている。下の2枚は「太閤記」のようで、校合摺に一部修正が入れてある。おそらく、明治末頃の「講談全集」系のたぐいとアタリをつけている。なかなか手堅いタッチで尾竹国観に酷似しているが、サインが入っていないので不明です。

木版画の挿絵は明治時代いっぱいくらいでしょうか。明治後半から亜鉛凸版が登場し、ちょうど大正時代頃には一般化したようです。木版画は当然下絵を貼付けて彫るために、絵師が描いた下絵は残りません。そして、摺師から廻された校合摺に修正や着物の柄などを書き入れ色指示をしました。実は私も15年前くらいまで、そのたぐいの作業を延々と続けていたのですね。デジタル・パブリッシングDTPの普及は、そうした江戸時代中期からの過程を一変させたわけです。割合い珍しいものなのでご紹介します。

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       校合摺:太閤記

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       校合摺:太閤記