『シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン』小路幸也(集英社文庫)東京下町の古本屋を描いた『東京バンドワゴン』の続編です。もうすぐドラマも始まりますね。今回の堀田家も前作同様、ちょっとだけ日常とずれた事件が盛りだくさんです。赤ちゃんの置き去りに始まり、勘一は数十年ぶりにある人と再開し、最後は警察が立ち入る騒ぎも起こります。とはいえ、どの事件もふんわりと落ち着き、読んでいても心地よい余韻が残ります。藍子との関係で悶々としていたマードックさんにも強力ライバルが現れ、薄い毛がより一層寂しさをましたことでしょう。ちなみにマードックさんのお父さんは有名なジャズギタリストと同姓同名です。
『はぐれ長屋の用心棒14 おとら婆』鳥羽亮(双葉文庫)はぐれ長屋におとらという婆さんが移り住んできました。時を同じくして用心棒たちとは因縁のある盗賊の赤熊一味が江戸に戻ってきました。本巻では珍しく敵側の視点での描写が随所に出てきます。これが場面に緊張感をもたらし、13巻目にしてややだれてきたシリーズを引き締めています。
『はぐれ長屋の用心棒13 長屋あやうし』鳥羽亮(双葉文庫)長屋にやくざ者が越してきて、追い立てを食らう用心棒たちです。そんなわけで今回は報酬なしで悪者に立ち向かいます。敵方も同じ長屋に住んでいるというのはどんな状況なのでしょう。うまく想像ができません。一つの長屋とはいえ、けっこう広いものなのでしょうか。本館では久々に「房」の字が付く名前が登場します。敵方に人質に取られる房次郎です。どうして「房」が好きなんでしょうね。