ようちぇけ×ヒップホッパー

黒いストレートの髪を結わえ
おでこにサングラス。
眉は薄く、眼光が鋭い。
顎には整った髭。

黒いダブルのスーツに
赤く細いネクタイの彼は

自身のことを
【ヒップホッパー】

と呼んだ。

‥‥‥。

後に彼が日本のヒップホップ界を牽引してきた

重鎮中の重鎮であることを知った。

普通なら噴き出してしまうところなのだが

なるほど、

彼が言うと全然驚かない。

夢を語るときの顔が

まるで少年のようにキラッキラしていて

笑顔がとても似合うことに気付き

「見た目は怖いですけど

　　素敵な人なんだってことだけは分かりました。」

と、思わず言ってしまった。

「　ＹＯＨ！ってやりゃヒップホップだと思っている。

そんな奴らが多い。

今までヒップホッパーを名乗ってきた奴も

せいぜいがヒップホップとファッションを融合させて

終わっている。

俺は違う。

ヒップホップの根底にある大切な考え方を

様々なビジネスの世界で展開してってやる。」

と豪語した。

しかし、彼の持つ人脈はそれに見合うものであり、

日本の超有力政治家を始め、

なんでこんな人と繋がってるの？と思う人も多々いる。

やはり、魅力のある人というのは

何かで成功して終わるのではなく

こうして今後もその世界を引っ張り続けていく

覚悟のある人なのだと感じた。

彼には

自分のニックネームが『ようちぇけ』であることは

口が裂けても言えないと思った。

ようちぇけ×大学院生

先日、慶応大学の院生と飲んだ。

彼は現在

音を聞いたときの心身に与える影響について

解明するシステムを研究している。

好きはものの上手なれとは良く言うが、

彼のマニアック度合いは半端じゃない。

まず、彼が演奏できる楽器が面白い。

ピアノ、ギターなどのメジャーなものはともかく

尺八や琴、チェンバロ‥とマニアックなものまで、

本当に23歳なのか怪しいくらい幅が広い。

チェンバロはオランダから150万円で取り寄せ、

尺八に至っては手作りなのだという。

‥‥‥尺八だぜ？

僕もピアノを弾くが

とてもじゃないけれど

ここまで熱を入れてやることは出来ない。

そして音に対するこだわりもすごい。

チェンバロというのはピアノのような楽器なのだが

音楽の授業で聞いたＬＰの音は

とても電子音チックだった印象がある。

ピアノの弦は

その一本に掛かる張力が１ｔを超える為、

鉄のフレームを使用する。

しかし、チェンバロは全て木で出来ており

別の音源を通して聞こえる音と比べ何倍も

とても穏やかな音を奏でるのだという。

ピアノよりも弦の調整は繊細に行わなければならないし

毎回毎回調律し直さなければならないそうだ。

でも。

その音を奏でられるのであれば

全く苦にならないとのこと。

現在。

大学側からは彼の研究費用はあまり出ていないらしく、

企業などに自らアピールをしていき、

スポンサーになってもらってお金を出してもらっているそうだ。

その研究内容を聞いた。

‥が、あまり良く分からなかった。。

しかし嬉々として話すその笑顔はとても輝いていて、

その仕事に心から楽しんで取り組んでいる彼が

とても羨ましく感じてしまった。

自分ももっと

がんばらなければ。