りさぽん🎸🦔

 



窹寐思服❼の続きです


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私は教師としての先生が好きなんだなって思う瞬間がある

 



 

今朝の数学の時間、るんちゃんの様子がおかしかったことに先生も気づいて、LINEをくれた

 



 

【森田さんのこと、ちょっと気にして見てあげて。なんか最近おかしいよね?】

 

 



先生は素敵な先生。

たしかに情緒不安定な子だけど、最近とくにおかしい。無口なるんちゃんなんて今まで見たことない。土生ちゃんに付き合い始めたことは聞いたけど、いつもみたいに自慢げに話したり、惚気たりしない

 



 

美「るんちゃん、最近変だよね」

 



由「うん…」

 


 

私とみいちゃんはこんな会話を繰り返していた。

 


 

雨が降り続き、教室の中は、じめじめしている。

 

 


席に座ったままスマホを見つめるるんちゃんに近づいた

 

 


由「最近どう?土生ちゃんと!」

 


 

元気のないるんちゃんの背中を叩いた。

 

 



顔をあげたるんちゃんは、目にいっぱい涙を溜めていた

 


 

由「るんちゃん、最近元気ないね、?」

 



ひ「ありがと。大丈夫。わたし…これから変われるかな」

 



 

こんな顔したるんちゃん初めて。土生ちゃんのせいなのかな。るんちゃんらしくない。

 



 

美「土生ちゃんのこと大事にしてよね~」

 

 



うん、うん、とただ頷くるんちゃんは涙をこぼした。

そしてスマホの画面を私達に見せる。そこには、土生ちゃんからのメール。

 



 

【私がひかるを変えてあげる。信じてついてきて】

 



 

複雑な胸のうちを隠して、みいちゃんは笑う

 

 


美「土生ちゃんなら、るんちゃんを変えられるかもしれない」

 


 

窓の外は、夕方のように暗く、雨がどんどん激しくなっていた。


 

 

 

美「あ~あ、あの土生ちゃんがあんなにるんちゃんに惚れちゃうとは、、予想外」

 

 



帰り道、みいちゃんが傘をくるくると回しながら言った。

 


 


由「みいちゃん、ごめんね。私のせいで。やっぱりまだ好きなんでしょ?」

 




美「由依ちゃんのせいじゃないって!しかも、結構すっきりしちゃって。土生ちゃんにしがみついていたかっただけかも。初恋だったから」

 



 

私は、中学時代の二人を思い出す。いつも手を繋いで一緒に帰る二人は、学校中の憧れだった

 

 

美「新しい恋がしたーい、誰かいい人いない?」

 

 


みいちゃんが私の傘に自分の傘をぶつけながら言う

 

 



由「誰かって…う~ん、探しとく」

 



美「なんだかあんなLINE見ちゃうとへこむよね、でもるんちゃん、少しいい顔してたよね」

 



由「うん、本気で好きになれたらいいね。複雑だけど」

 



美「もういいの!私はるんちゃんを応援する!」

 

 



話が盛り上がった私とみいちゃんは、私がバイトしてたところで夜ご飯を食べることにした



 

もう一回働こうと思ったけど結局やめた。理由は、先生の一言。

 




理『やだ!元カノと同じバイト先なんていやだ!』

 



 

笑っちゃうね。先生はほんとに可愛い。




 

ご飯屋さんに向かう途中、るんちゃんを発見した。

 


 


由「るんちゃん!何してるの?」

 

 



ビクッてしたるんちゃんの持つスーパーの袋の中には、総菜が見えた。

るんちゃんのお母さんが夜の仕事をしていて、るんちゃんが家のことをしているというのはなんとなくは聞いていた。

 

 



ひ「今日の晩ご飯買ってたんだ。ここのスーパー、今日安売りだから」

 



 

るんちゃんは、私達よりずっと大人なのかもしれない。

 

 



ひ「…お父さん!」

 

 



え、?

急にるんちゃんは持っていたスーパーの袋を地面に落とした。

唖然と立ちすくむるんちゃんの視線の先には、ごく普通の4人家族がいた

 


 

お父さんにお母さん、そして小学生くらいの子供がふたり

 



私はなんだかわからなかった。スーパーの袋を拾ってるんちゃんを見た。

 



るんちゃん、泣いてる…

 



父親の男性がるんちゃん視線に気づき、足をとめた。

 

 


「るん…ちゃん、?」

 

 


男性は、るんちゃんを見つめ奥さんと子供に先に車に行ってるように、と言った

 

 


ひ「お父さん!」

 



るんちゃんは走り出し、傘を放りだし、少しずつ近づいた。

 

 


「ひかる、!」

 

 


男性は大声でるんちゃんを呼び、両手を広げた。

るんちゃんは周りの目も気にせず、雨に濡れながら、男性の胸に飛び込んだ。

 

 


雨なのか、涙なのかよくわからなかったけど、二人とも泣いているように見えた

 



男性がるんちゃんの頭に乗せて濡れた髪をゆっくりと撫でた

 

 


ひ「お父さん、私のこと忘れてなかったの?」

 



「忘れるわけがない。僕の大事な娘だからね」

 



ひ「私だって忘れるわけない。世界にたった一人のお父さんなんだもん」

 



 

私とみいちゃんは、ただその光景を見つめていた。

ふたりの関係も、状況もよくわからないけど、私もみいちゃんも胸が熱くなり、泣きそうだった。

 

 



 

そのあと、るんちゃんと一緒に駅まで帰り、みいちゃんとご飯を食べにきた。

 




 

由「知らなかったね、るんちゃんにあんな過去があったなんて…」

 




美「うん、年上に執着してたわけが少しわかったかもね。先生を好きだったのも、土生ちゃんに惹かれてたのも」

 




由「そうだね、なんだかすっきりしたね」

 




美「土生ちゃんのこと、真剣みたいで安心した。もう先生のことも諦めたって言ってたし。一件落着だね」

 




由「あとは、みいちゃんに誰か紹介してあげないとね~」

 

 



そのとき…

 



 

夏「おはようございまーす」

 

 



カウンターの奥に現れたのは,夏鈴ちゃんだった

かなり気まずい、、

 

 



由「どうしよ…」

 

 

助けてほしくてみいちゃんを見ると…みいちゃん?

 



 

美「やばい!由依ちゃん、あの人タイプかも」

 

 



顔を赤らめるみいちゃんの視線は、一直線に夏鈴ちゃんへと向かってた。

 

 



夏「あれ、?懐かしい顔。由依~、なんでバイトやめちゃったのさ」

 



 

自然に話しかけてくれる夏鈴ちゃんに安心しつつも、隣で真っ赤になるみいちゃんが気になる

 



かわいい。これはチャンス、?

 

 



由「久しぶりです。いろいろ迷惑かけてごめんなさい。あ!親友の美波です!」

 



夏「あ~、名前聞いたことある。美波ちゃん、初めまして!」

 

 

右手を差し出す夏鈴ちゃんに、みいちゃんはまだ真っ赤なまま固まってた

 

ちょっと、!みいちゃん可愛すぎる!なんだか昔の私みたい。先生に片思いしてたときの。

 

 

夏「あれ、人見知り?顔真っ赤だよ。初めまして。夏鈴です」

 

 

みいちゃんはゆっくりと手を差し出し、握手した

 

 

「藤吉さん、ちょっと手伝って!」

 

 

奥から声がかかり、夏鈴ちゃんはニコッと笑って奥に入っていった

 

 

由「みいちゃん!!もしかして…一目惚れ?」

 

美「もしかして、あれが夏鈴ちゃん?由依ちゃんが捨てた夏鈴ちゃん?」

 

由「す、捨てたって、、ひどい」

 

美「由依ちゃんの好み、わかんない。あんな可愛い人捨てるなんて」

 

 


みいちゃん、かわいいなぁ

 

 



美「ねえ、あんな素敵な人を振ってまで、先生を選んだんだよね?辛いってわかって先生を選んだんだよね?」

 



由「うん…改めて聞かれるとそうなんだよね」

 



 

私は、クリスマスのことを思い出す。



 

 

美「夏鈴ちゃんの方が若くて可愛いのに」



 

由「そんなことないもん!先生のほうが最高に可愛いもん」

 



 

そんな会話をしているうちに、夏鈴ちゃんがやってきた。

 



 

夏「仲いいね~、これ、私からのサービス」



 

美「あ、ありがとう、ございます、!」




 

夏「美波ちゃん可愛いね」

 



 

みいちゃんは、割りばしの袋にこっそりインスタのユーザーネームを書いて夏鈴ちゃんに渡した



 

夏鈴ちゃんは袋を見て

 


 

夏「ありがとう!」

 

 


と笑った




 

あれからみいちゃんは夏鈴ちゃんからDMが来てずっと顔を赤らめていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来週は就学旅行。今は部屋を決めている途中

 

 


行き先は、北海道!すごく楽しみ

 



先生と一緒に行ける修学旅行

 


 


美「一緒の部屋になれてよかった!色々協力するからね」

 



先生が私の部屋の近くに泊まるかどうかはわからない。

先生にお願いしたけど先生ではどうにもできないらしい

 

 



『部屋が遠くても会いに行くから!』

 



って言ってたっけ、

 



 

修学旅行でスノボーをするらしい

私、全く才能がない

 



先生は噂によるとスノボーが上手らしい

本当かはわからないけど絶対上手だよね。またファンが増えちゃう

 


 


休み時間にスマホが震える

 



 

由「もしもし、?」



 

理『もしもし…』


 

 


学校にいるときに先生から電話がかかってくるなんて初めて

 

 



理『ちょっと急用がありまして。こんな時間に申し訳ありませんが…』

 



 

職員室で話してるっぽい口調が可愛い

 



 

理『部屋の番号なんですが、、701に決定しましたので」

 




先生と隣の部屋…嬉しくてにやにやしちゃう

 

 

 


由「先生と隣の部屋になった!」

 




美「ほんと!よかったね!」




 

由「みいちゃんは夏鈴ちゃんといつ会うの?」




 

美「実は今日会うんだ!バイトの前に少しだけ」



 


由「よかったじゃん!修学旅行あるししばらく会えないもんね」

 



 

みいちゃんは初めて会ったあの日から夏鈴ちゃんに夢中で見てて面白い

 

 


 

 

学校からの帰り道、スマホが鳴る

 



非通知…出るの怖いな。恐る恐る出ると

 


 

由「もしもし…」

 



理『もしもし、、渡邉と申します」

 



 

え、先生、!今日は修学旅行の会議があるから電話できないって言ってたのに。

 



 

由「先生!ありがとう!それ、学校の電話?」

 



理『はい、そうです』

 




由「声聞きたかったよ、だいすき!」

 



 

電話の向こうの少し気取った先生が可愛い

 



 

由「先生、私のこと好き?」

 




理『……』



 

由「言ってよ!」

 




理『はぁ、まぁ、、そうですね。その方向で…』




 

由「なに言ってるの!その方向ってどの方向?」

 




理『それでは、、失礼します。またよろしくお願いします』

 

 



先生、めちゃめちゃ可愛い



 

忙しい合間の先生の優しさ。すごく嬉しい。

 

 



就学旅行、絶対いい思い出作る!

 


 

 

人生初の飛行機に先生と乗れるなんて、すごく幸せ

見えないくらい遠い席だけど、

 



隣に座りたかったなぁ




 

実はちょっとだけ飛行機が怖い

 




 

由「ああ、」



 

 

ビビりながらみいちゃんの腕を掴む。

 




シートベルトサインが消えると、先生は席を立って近づいてきた。



 

 

理「大丈夫?気持ち悪くない?何かあったら私呼んでね」

 

 




それだけ言って先生はまた席に戻る




 

そのあとは、キャビンアテンダントの人の美しさに目を奪われ、みいちゃんとわいわいしながら飛行機を楽しんだ。

初めての飛行機はいろんなことを教えてくれた

 

 

 

 

 

 

ホテルに向かう前に、いきなりスノボー講習が始まった



 

黒のニット帽に水色のウェアを着た先生が歩いてる。かわいい

 

 



「小林さん、ちゃんと体操してください」

 



 

コーチの人に注意された



 

みんなが滑りだしたとき、近くにいた女の子が騒ぎ出す

 

 



「あれ、誰!?もしかしてうちの学校の先生?」

「あれは惚れちゃうよ」

 




 

みんなの注目を浴びているのは間違いなく先生だった

 



 

「まじ?渡邊先生?かっこよすぎじゃん」

 

 



近くにいる子がまた騒ぎだす

胸がちくんと痛んだ

 

 


 

 

拗ねながらバスに乗る私を、みいちゃんは笑う

 

 


美「恋してるねぇ」

 



由「みいちゃんだってしてるでしょ」

 

 



と言い返したその目線の先に、先生がいた

 



先生と一緒のバスじゃないのがさみしい

 



 

隣の車線を走る先生のバス。先生が一番後ろの席でじっと私を見ていた

 



先生は窓ガラスにハートを書いた誰かに見られてたらどうするの?

こんなにたくさんの人がいるのに。そして、私の不安は的中…

 



 

ひ「由依…今のなに?」

 



 

後ろの席の席からるんちゃんが移動してきた


 

やば、、見てたの?

 


 

ひ「もしかして…」



 

 

みいちゃんがるんちゃんの口を押さえてその言葉をさえぎる

 

 



美「由依ちゃんどうする?」

 

 



心配そうなみいちゃんの顔を見て心に決めた

 

 



由「るんちゃんを信じる」

 

 



そう言うと、みいちゃんはるんちゃんの耳にこそこそ話。

 

 



美「詳しいことはまた夜、由依ちゃんから聞いて。とにかく3人の秘密だから」

 

 



みいちゃんの念押しに、るんちゃんが突然目を潤ませた

 



 

ひ「嬉しい!秘密を私に教えてくれて」

 

 



その言葉を聞いてるんちゃんは裏切らないと確信した

 

 



お風呂に入って私服をきているみんなはいつもとは違う雰囲気だった



 

自由時間になったから部屋を出て先生を探す。どこにいるかな

 

 


しばらく歩いていると階段に座っている先生を見つけた。紙を見ながら何かをしている

 



誰もいないし話しかけてもいいかな


 

 

由「せんせ…」



 

私の声はかき消された。女の子たちが先生を取り囲んだ

 



 

「先生、トランプしよ~」

「先生の部屋行きたい!」

 



 

先生の声すら聞こえなかった

 



残念、階段をのぼってるとき階段の下を見ると、一瞬だけ先生と目が合った

それだけで、また笑顔になれた

 



 

部屋に戻ってみんなと語りあった



 

途中から3人で部屋を抜け出して自販機の隣にあった椅子に座って話すことにした

 


 

ひ「なんかどきどきするよね」



 

由「みんなもう寝たかなぁ」




 

美「いいなぁ、由依ちゃんは好きな人と修学旅行に来れて」

 



 

みいちゃんとるんちゃんが顔を見合わせて頷きあう

 

 



美「相手の好きなところ言い合おうよ!」

 

 



みいちゃんの提案で始まった、好きな人の好きなところを言い合うゲーム

負ける気がしない。どんだけでも出てくるもん

 

 



美「じゃあー、由依ちゃんから!」

 



由「お顔が国宝級!」

 




ひ「間違いないね。じゃあ私いきます。スタイルが良すぎる!」

 




美「夏鈴ちゃんはほんっとにいい匂い」

 




 

なかなか勝敗がつかなくて、ネタも尽きてきた

最後に私が「2人のときはでれっでれ」って暴露して終わった。

 




そのときエレベーターが開いた

 

 



理「こら!何してるの!」

 

 



大好きな先生の声。私は嬉しくて先生に近づいた

 

 



由「先生!やっと会えた」




 

理「こらこら、早く寝なさい。今から見回りだから、私が行くまでに寝なさい」

 



 

先生口調なのはるんちゃんがいるからかな

 



 

理「明日もスノボーあるし疲れるから早く寝なさい」

 



 

みんなに冷やかされながら部屋に戻る。

先生の見回りまで起きていたかったけど、いつの間にか眠っていた





coming soon…


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 お読みいただきありがとうございました!

 


 誤字脱字ありましたら教えて下さると嬉しいです!



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