2010/08/25 日経新聞電子版の記事より
製造業の在庫効率高水準 4~6月、金融危機前上回る回転率
上場製造業の在庫効率が高水準で推移している。代表的指標の「在庫回転率」は2010年4~6月期、7.5回と金融危機前の08年4~6月期の水準を上回った。企業は余分な在庫を持たないよう管理を徹底。この中で販売回復が軌道に乗ってきたためだ。金融危機を経て、日本企業の製造関連の資金効率が良くなったことを示す。
製造業の在庫効率がリーマン・ショック前の水準を上回ったという。
在庫回転率とは、
企業活動の効率性を示す指標で、平均在庫に対し、期間中の売上が何倍あったかを表します。単位は、回。
在庫回転率 = 売上 / 期中平均在庫
※この計算は金額ベースで行なう場合と数量ベースで行なう場合がありますが、お勧めは数量基準です。
もし、金額基準で行なう場合は、分子は売上原価とするべきだと思います。
そうでないと、利益率の多寡によって、在庫回転率が増減してしまうからです。
今回、上場製造業の在庫回転率が7.5回とのことでしたが、一方、中小企業ではどのような数値なのでしょうか。
税理士の団体、TKCの経営指標(BAST)によると、10.2回(21年決算分)となっています。
(※製造業の全企業平均。BASTでは棚卸資産回転日数が公表されていますので、その逆数を取りました。)
中小企業の方が、上場企業より指標が良いというのはちょっと想定外だったのですが、
今回問題なのは、指標が回復しているかどうかですので、ここではその議論はおいておきましょう。
で、本来議論したいのは、中小企業の直君の在庫回転率が回復しているかどうかを見たかったのですが、
さすがに上場企業のように、四半期報告がされるわけではなく、残念ながら、今年に入ってからのデータは
取れませんでした。
しかし、その前年平成20年と比べると、平成20年は10.8回でしたので、回転率は悪化したことが分かります。
平成20年といえばリーマン・ショックの年ですが、その影響が財務データに現れるのは21年分でしょうから、
悪化したというのもうなずけます。
では、他業種では?
H21年の業種別、全企業平均の在庫回転率をしらべてみました。
建設業 9.4回
卸売業 15.0回
小売業 12.5回
飲食店 77.7回
皆さんも、ご自分の会社の在庫回転率はどのくらいなのか、業界の平均と比べどのような位置にいるのか、
無駄な在庫を抱え、キャッシュフローを切迫させていないか、見直してみてはいかがですか?
この話を読んで、あなたは何を感じましたか。
大事なのはそれをどう行動に移すかですけど。