正月早々、シネマート心斎橋でみた大迫力の韓流歴史ドラマを紹介します。時代は18世紀後半、朝鮮後期、朝鮮王朝22代国王正祖(イ・サン)を中心にした宮廷舞台の歴史ドラマです。正祖(ヒョンビン)の父は21代国王英祖の息子である思悼世子でしたが、朝廷を牛耳る老論派のために、思悼世子は櫃に閉じ込められて死ぬという悲惨な最期を遂げています。イ・サンが即位してからも、常に刺客の目がひかり、心安まる日がありません。そんな彼のことを真剣に案じてくれるのは、幼少時から知る宦官のカプス(チョン・ジェヨン)くらいでした。
一方英祖の後妃で老論派とともに父を死に追いやった、祖母の貞純王后(ハンジミン)はイ・サンよりわずか7歳年上。現状では満足できずイ・サン失脚をも画策していました。イ・サンが老論派など敵対勢力の排除を試みると、朝鮮一の刺客ウルス(チョジョンソク)を使ってイ・サン暗殺を企てるのでした。
この映画はイ・サン暗殺事件を題材に、暗殺事件の起こった24時間を劇的に描いた映画です。映画は宮廷内の権力闘争のみを描いているのではありません。暗殺者や宦官となった者たちの悲しい前歴、かなうはずがない宮女との恋なども描いています。さらに下層宮女の厳しく悲しい実態をも描き、人間ドラマとしても少し違った雰囲気の宮廷劇にもなっています。映画で貞純王后演じるハン・ジミンは、若くて美しいのでとても祖母には見えませんが、それだけに彼女の行動には背筋を凍らせるものがあります。
でも何と言っても圧巻は映画の最後、王自身が弓をとって暗殺者と闘うなど、すさまじい戦闘シーンは見逃せません。娯楽性豊かでありながら美しい映像であり、サスペンスでありアクション映画にもなっています。(2014年 イ・ジェギュ監督作品)