不思議なドキュメンタリー「愛国者に気をつけろ!鈴木邦男」 | あなたの知らない韓国 ー歴史、文化、旅ー

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 空中庭園で有名な新梅田シティーにあるシネリーブル梅田という映画館で久しぶりにドキュメンタリー映画を見ました。「愛国者に気をつけろ!鈴木邦男」(監督・製作:中村真夕)という映画です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴木邦男という宮城県出身の極めて異色な政治活動家をめぐるドキュメンタリー映画です。見ていると右とか左とか言う区別が難しい人物で、彼の人生は波瀾万丈というべき歩みです。

 

 

 1960年、彼が17才の時、当時の社会党委員長浅沼稲次郎氏が刺殺されるという衝撃的な事件が起こりました。犯人の山口二矢は彼と同年齢で、同年齢の男がこんなことをやったということに大変なショックを受けたそうです。大学時代には全国組織の代表になるものの、一年で代表から引きずり下ろされる。また1970年三島由紀夫とともに市ヶ谷駐屯地で自殺した森田必勝は大学の後輩で、事件の後、自ら政治団体一水会を立ち上げます。

 

 

 自分の立ち位置はどこにあるのか、どう向かえばいいのか、苦悩と葛藤を繰り返し、絶対だと思っていた「愛国心」というものさえ疑わしくなってきます。その後、自分を探すため、全く立場の違う人とも対話を繰り広げ、耳を傾けるようにもなります。

 

 

 このドキュメンタリーは彼に密着しながら、交流した人たちを取りあげます。今やロスジェネの代名詞雨宮処凛、北朝鮮拉致被害者家族連絡会の蓮池透、元オウム真理教の上祐史浩など多彩な人たちが出演。政治的立場を超えて、いろいろな人との橋渡し役になっていました。

 

 

 特に右翼という立場でありながら、小林よしのりとともに立憲民主党の応援演説に立ったり、「不自由な自主憲法より、自由な押しつけ憲法!」などと言う発言は非常に印象的です。この映画を見ていると、政治的立場を超えて、人間何を目指すのかということが大事だという当たり前のことを教えてくれたような気がします。