누룩
이동순
어둑어둑한 저녁
파장 무렵의 풍각장에서 누룩을 샀다
골라서 열개만 사려다가
아에 상자 째 모두 사버렸다
누룩은 이제 내 방 위목에서
그윽햐고 흐뭇한 향내를 솔솔 피운다
언젠가는 자신이
쓸쓸한 사람에게 찾아가 진실로 하나의 위로가 될
그 날을 기다리는 누룩
나도 이 기운이 없는 세상을 위해
한 장의 누룩이 되고 싶다
세상의 앞 가슴을 온통 술기운으로 벌겋게
달아오르도록 하고 싶다
그 누룩과 더불어 한 방에 자면서
나는 누룩이 장차
보드라운 가루로 빻여서
많은 물과 참살을 따뜻하게 껴안고
항아리의 어둠속에서 이불을 둘러쓰고 숨죽이며
하루 이틀 깊은 사색과
인고의 시간을 보낸 뒤에
드디어 향기로운 정신으로 완성될 그날의 감격을
아늑히 끔꾸다
(訳詞)
麹
李東淳
薄暗い夕べ
店じまい時分の露天市で麹を買った
10個だけ買おう思ったが
箱ごと全部買ってしまった
麹をもう私の部屋の下手から
ほのかにかぐわしい香りが漂う
いつかは自分が
寂しい人を訪ね 本当に慰労になる
その日を待つ麹
私もこの生気のない世の中のために
一枚の麹になりたい
世の中の全てを一面酒の勢いで
赤くなるようにしたい
麹のある部屋で寝て
私は麹が将来
ひかれて滑らかな粉になり
水と餅米を暖かく包み込んで
甕の暗闇の中で布団をかぶって
一日2日の深い思索と忍耐の時間を過ごした後に
ついに香り高い精神で完成するその日の感激を
心待ちにしている
○
いかがでしたでしょうか。今回も詩を紹介しておりますが、今まで紹介した詩とはかなり趣の違うものがありますね。
この詩の最重要語は누룩です。麹という意味ですが、麹とは米、麦、大豆などにコウジカビなどの微生物を繁殖させたものです。醸造酒や味噌、醤油などの発酵食品醸造に欠かせないもので、麹の技術がなければアジアの食卓は全然違ったものになっていたでしょう。
またこの詩の主人公は相当にお酒の好きな人のようですね。それもかなり楽天的なお酒。お酒を飲んでいるときは何よりも幸せ、世間に満たされない人がいれば、まろやかな酒で癒してあげたい、そんな情のある人に思えます。それで自分で麹を買ってきて、壷でどぶろくを醸しているのですが、ほのかな麹の香りとともに、ひなびた田舎の家の様子が目に浮かびそうですね。なにか暖かな気持ちになれる詩です。この詩にあやかって、私も世の中を明るくするため、今日もお酒をいただきたいと思います。
麹が酒を醸すように、世の中を明るく醸し出せる人になりたいものですね。
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