ソウル近郊の癒やしの場所 逍遥山 | あなたの知らない韓国 ー歴史、文化、旅ー

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    皆さんこんにちは。
 
    本日はソウル中心部から日帰りで行ける自然豊かで、伝統文化が感じられる地点をご紹介します。

 

    地下鉄1号線終点でソウル市中心部から1時間半近く行ったところに逍遥山駅(소요산역)があります。1号線の終点で、小金剛と言われる逍遥山(소요산)(587m)への登山口があります。

 

   逍遥山駅は京元線(경원선)の起点でもあります。京元線は江原道(강원도)の元山(원산)(現在:北朝鮮領域)まで行った路線ですが、今は軍事境界線に近い白馬高地で止まっています。

 

 

 

 

   駅前には登山口らしく飲食店があり、リュックサックを背負った人が行き交っています。

 

 

 

 逍遥山駅

 

 

 

   駐車場を通り過ぎ、渓谷沿いの道を歩いて行くと、遥石宮(요석궁)跡という表示が目につきました。ここは新羅を代表するというよりも、朝鮮仏教を代表するというべき高僧元暁大師(원효대사)ゆかりの地です。彼が若かりし時、新羅の王女である遥石公主(요석공주)と情を通わせ、息子薛聡(설총)を得ました。そして30代に、妻の遥石公主と息子薛聡を伴って逍遥山に入り、修行しました。この時に住んだ別宮が遥石宮と呼ばれて、逍遥山にあったと伝えられています。

 

    父の元暁は新羅仏教を集大成した大学者で、元暁がいない朝鮮半島の仏教は考えられません。また息子の薛聡は後に新羅で儒教を振興させた大学者となります。親子で新羅の文化の基礎を築いたようなものですね。この父にしてこの息子ありの代表例です。凄すぎますね。

 

 

 

 遥石宮伝承地

 

 

 

    寺伝によると、元暁大師により開山されたのは、 新羅善徳女王14年(645年)頃 のことであり、山号を逍遥山 、寺号を自在庵と称しました。高麗時代や朝鮮時代にも重修を重ねましたが、朝鮮戦争で全山消失の憂き目に遭い、その後、再建されたのが現在の自在庵です。

 

 

 

自在庵境内図

 

 

  そして遙石宮から少し歩くと、逍遥山自在庵と書かれた篇額がある山門があります。この山門を通り過ぎるといよいよ自在庵の境内に入ります。


 

 

 

    自在庵の境内に入ると、世俗の喧騒を離れたような気分にあり、だんだん穏やかな気分になれます。

 

 

 

 元暁瀑布
 

 

    しばらくすると絶壁を水流が流れ落ちる滝に遭遇しました。元暁大師も修行したのでしょうか、元暁瀑布(원효폭포)と名づけられています。清冽な雰囲気にあふれています。

 

 

 

 

 

 

   滝の近くには洞窟もあります。小さな仏壇も安置され、多くの人がお参りするようです。ここで私もお参りさせていただきました。

 

 

 

自在庵大雄宝殿

 

  

   大雄宝殿(대웅보전)です。日本の寺院の本堂にあたりますが、綺麗な提灯で飾られています。鮮やかです。

 

 

 

 

 

 

    さらに本堂の奥の方には泉があります。全国各地に元暁創建伝承のある寺院があり、その中には数々の名水が湧き出ています。自在庵でも清らかな名水が湧き出ており、岩間から湧き出ていることから石間水(석간수)と呼ばれています。この水で茶を点てると格別の味だと言われ、この水を目当に訪れる人も多いそうです。

 

 

 

 

    石間水のあるのは半洞窟状の岩陰で、直接自然の恩恵を感じることのできる空間です。試飲しましたが本当にまろやかで、甘露水とはこのことかと思いました。いつでもこんなおいしい水が飲めたら幸せでしょうね。

 

 

 

   ソウルから日帰りで行けるところでありながら、大都市から離れた自然の豊かさと朝鮮仏教の伝統も合わせて体感できるところです。皆さんもしばし都会の喧騒を離れ、ゆったりするのはいかがでしょうか。