名探偵コナンから、平和×新蘭×CHを
過去作品改訂で


東西名探偵とスイーパーの遭遇_18仮題

第7章 絆


「服部くんのそれ、御守り?」

「あぁ、そやで」

何でも、和葉ちゃんのお手製だと言う

「中身の神様は、毎年、いつもの神社で入れ替え
しとるんやけど」

和葉ちゃんには内緒と言う事で、見せてくれた

「うわぁ、可愛いい!」

ラミネート加工された小さな写真には、赤い着物
を着て、鞠を持った和葉ちゃんが、和装の女性と
頬を寄せて笑顔を見せていた

裏には、桜の木を見上げる和葉ちゃんの横顔と、
桜の花びら

それと一緒に、鎖で括られたふたつのリング

あと、何かのカケラ

「手錠?」

あぁ、と言う服部くんが、幼い頃、家で遊んで
いて、イタズラで嵌めた手錠が外れなくなって
大変な目に遭ったと笑った

手錠、ねぇ
あはは、と苦笑するしかない

私も、リョウと繋がって外れなくて困った事が
あったからなぁ

「何や、何処も似たような事やってるやん」

ま、オレらはガキンチョの時やったからまぁえ
えけど、香さんらは困ったんとちゃうか?

「まぁ色々な意味で、困ったけどな」

突然現れたリョウは、コーヒーが飲みたいと言う

夜だけど、まぁいいか、と言う事で、3人分を
淹れて出した

和葉ちゃんの御守りは、効果あるのか?と尋ねた
リョウに、服部くんはいくつかのエピソードを教
えてくれた

和葉ちゃんの事、事件の事を話す服部くんは、い
つもキラキラして見える

特に、和葉ちゃんとのエピソードを話す服部くん
は、めちゃくちゃ表情豊かだし、いい顔してる

「手錠なん無くても、オレらの場合、生まれる前
から手枷、足枷、がっつり絡んでんねん」

服部くんと和葉ちゃんのご両親は、父親同士は何
と幼なじみだそうで、母親同士も含めて親友だと
言う

同じ頃に出産予定だとわかった時から、名付けに
ついても色々考えていたようで

「オレと和葉の名前、ふたつ揃わないと意味が
無いねん」

服部くんは、意外にも達筆な文字で名前を書いた

平和
次葉

平和な次の世代を生きる子供達でありますように
と言う願いがあるらしい

服部家には、代々、男の子には平の字を入れると
言うしきたりがあるとかで、色々なバージョンで
候補があったと言う

「まぁ、オレは平蔵の次っちゅう意味とちゃう
かーって、疑うてるんやけど」

和葉って名前はええ名前やと思う
おっちゃん、さすがって思うからなぁ

にしし、と笑う顔は、まだ年齢相応だ

「そう言えば、和葉ちゃん、落ち着いた?」

「あぁ、香さんのおかげや」

甘酒飲んで、身体も温まったからか、爆睡して
んねん

まぁ、苦しんでは無いから、寝かせとこ、思う
てな、と言う服部くん

「和葉ちゃんは、まだリハビリしてんのか?」

「いや、もうしてへん
あとは、痛みとも上手く付き合うて行くしかな
いねん」

当初は、生命を繋ぐだけでも大変やったんや
それを、車椅子も杖も無しで動けるようになっ
ただけでも奇跡やと思う

アイツ、めちゃくちゃ頑張ったんやで?

そう言って、優しい笑顔を見せた服部くん

「遠山さんの愛娘だからな」

小さい頃から、片鱗はあったけど、と笑うリョウ

「アイツの頑固さは、筋金入りやからな」

けけけ、と笑う服部くんは、でも、それにかなり
助けられて、甘えて来てしもうた、とも言った

「ここから先は、オマエが頑張ればいい
そうだろ?」

「あぁ、もちろん」

にやっと笑う服部くんは、少し大人びた顔

リョウにしては珍しく、ふざける事もなく、服部
くんと会話を続けていた

服部くんは、和葉ちゃんの身体の痛みをもう少し
軽減出来ないか、色々思案しているようで、何か
身体を鍛える事で回避出来ないか考えていた

教授も治療に参加していたらしいから、相談して
みたらいいと言うリョウに、真面目に頷く服部く
んは真剣だった

大事な相方がケガを負っただけでなく、後遺症ま
で負っている事に、服部くんはなんとかしてやり
たいと本気で色々調べているようだった

本気の人には、リョウも優しいからなぁ

私は頼まれるまま、おかわりのコーヒーを淹れに
行った

to be continued