名探偵コナンから、平和な2人を
昔の走り書きを書き直し

タイトルは仮題です★


元怪盗と高校生探偵の夏休み


神戸で滞在中の両親と合流し、出版関係からの情報
を貰って、大阪に戻った

あの執事は立ち回りも完璧としか言えなかった

自分の手は汚さない、利用出来るものは利用する
それが例え犯罪スレスレであっても、だ

今回の騒動で、罪には問えないが、色々な関係者の
思惑を上手く利用したのは間違い無い

主人である紅葉の想いを遂げさせるために、最近は
かなり活発に動いてえる様子

こう言うのが一番始末に悪い

何か決定的にしなければ、時期を見てまた和葉ちゃ
んと服部にちょっかいを出し続けるだろう

これがまた、政財界に太いパイプを持っているから
更に問題なのだ

この先、嫌がらせはもっと巧妙化して行くだろう
見合い話は、まだ序の口だと言えるだろう

さて、どうしたものか

快斗からも、同じような情報が入ったが

「えー!マジかよ!」

神戸からの帰りの車中で、思わず声をあげてしまい
遠山さん達に苦笑された

「さすが、遠山さんのお嬢さんやわ」

そう言って笑ったのは、静華さん
そう言う事でしたら、平次は正念場って事やね、と

「平ちゃん、どないするつもりやろか」

遠山さんは、笑った

なるようにしかならへんし、と

「まぁ、断ったらオレは飛ばされるやろうけど、
娘の人生おもちゃにしてまで今の仕事にしがみつく
つもりは無い」

ま、意地で警察は辞めてやらへんけどな、と笑う

大滝警部は困惑し、静華さんは厳しい表情を崩さな
かった

「オレは」

口出す立場にはありませんが、オレはこの難問をち
ゃんと解いてくれるのは、服部だと信じてます

と言いたいところなんですが、多分服部はもうわか
っていると思うんです

だから、あの日、どんなに父親に責められも、大岡
紅葉との間に起きた事を最後まで口にしなかったん
だと

「ほう」

快斗が潜入調査で裏は取った

時期は明確ではないが、大岡紅葉は服部に告白して
もう既にそれにははっきりと答えが出ていると

恐らく、執事はその経緯を知った上で、巧妙化した
手口で、主人が一発逆転で想いを遂げられるように
裏からアシストしたのだろう

服部平次を手に入れるための、最大の障壁である、
和葉ちゃんの存在を消すために

そして、服部自身も、騒動の火種は自分にある事を
理解しているし、自分の動き方次第で和葉ちゃんが
危険に晒されているのもわかるから、

アイツにしては妙に大人しくオレらの言う事を聞き
会っていいと言うまで、和葉ちゃんの傍を離れて、
一切連絡もしなかったのだと思う

「だって、普段の服部だったら、和葉ちゃんに害が
及ぶとわかったら、自分の事は顧みずに真っ直ぐに
和葉ちゃんを自分の手で救出に行きますから」

たとえ、どんな事があっても
死んでも護るって、言ってましたからね、あの時も

オレが証人です

皐月堂に向かう時、服部は和葉ちゃんを救出する事
以外、何も考えてなかったし、脱出する時もお互い
の生命を賭けたって言ってました

和葉ちゃんに生命を預けて、預かったから飛び出し
て行けたって

「ここから先は、服部の出番です
オレと快斗で危険分子の手足を止める仕掛けは既に
完了してますし、マスコミは両親が仕掛けてます」

あとは、服部が根本解決をするだけかと

あら、と言う静華さんと、
大丈夫やろか、平ちゃんと言う大滝警部と、
クスクス笑う遠山さん

賽は投げられた
あとは、服部次第だ

と言うより、究極、決めるのも選択するのも和葉
ちゃん次第だと言うこの状況

これで決められなければ、快斗とオレで和葉ちゃ
んには相応しい人を選ぶしかないと思ってるって
事、ちゃんと察しろよ、服部

間違っても、オレに「バーロー」なんて言わせん
なよな?

アシストはした
ゴールを決めるのは、オマエ自身だ

車は滑るように街中をすり抜けて行った


★★★


午後になって、オカンから連絡が入り、夜はみん
な服部邸の方へ来るように、とあった

黒羽は青子嬢と少し周囲を散歩したいと出て行っ
てしまい、遠山家にはオレと和葉の2人だけにな
った

片付けしたり、キッチンに入ったりする和葉を、
捕まえるなら今しかない

「和葉」

キッチンの火を止めて作業を終えたタイミングで
声をかけた

何?と言うエプロン姿の和葉の手を引いて、椅子
に座らせ、自分はその前に正座した

椅子に座った和葉の両手を握って、深呼吸してか
ら、オレは一言一句、違わぬように集中して正確
に和葉と一緒や無い時間にあった事を総て話した

事実は事実として話をした後で、自分が思った事
を話そうと顔を上げたら、和葉は真っ青な顔をし
て、手が震えていた

ちゃんと聞くから、ちょっと待って、とふらふら
しとる和葉から慌てて手を離して、その身体を手
を伸ばし、抱き寄せた

跨るような形で落ちて来た和葉を、深く抱きしめ
その背をそっと叩くと、震える手で服を掴むのが
わかった

「逢えたら話そう、と思ってるうち、中々時間も
無くて、邪魔も多いし」

すまんかった、と言うと、首を振る和葉に、この
ままでええから、ちゃんと聞いて欲しい、と言う
て、オレは話を再開した

最初は全く気付いてへんかった事

途中からおかしいとは思うたけど、ぐちゃぐちゃ
し始めて、あっちゅう間にこんなんなってしもう
た事

そして、紅葉の要求を飲んだ方が拗れへんかった
かもしれへんけど、飲めなかった理由も

膝上から和葉がずり落ちへんよう抱え直した

「オレがつまらん意地張ってへんで、さっさとし
とったら、こんな話にはなってへんっちゅうのは
わかるんやけど」

まさか、和葉の家でエプロン姿の和葉を抱っこし
たまんま言う事になるとは

和葉、と言おうとして、腕の中の和葉がぐったり
しているのに気がついた

これはアカンわ

慌てて立ち上がり、和葉を抱えソファに横にした

堪忍やで、ちょお緊張してもうて、目が回ってし
もうたと言う和葉は、真っ青を通り越して白い顔

横になると余計目眩がするみたいなので、ゆっく
り起こして座らせた

「ちょお待っとき」

冷蔵庫から冷茶を出して、それを和葉に飲ませた
和葉の前に座って、自分もがぶ飲みした

気合いを入れて、再度和葉に向き合う

「大丈夫、や無いよな」

平気やと言うんやけど、顔色はあまりようない
でも、これを逃したら次は無い、よな

頭をぐしゃぐしゃしててもしゃーないし、多分、
そろそろ外野が騒がしくなるはず

「和葉」

膝立ちして、ぎゅっとして、その耳元で伝えた

落ち着いたら、オレとデートしてくれって言うて
へ?と言う顔の和葉の頬にちゅーしてやった

ホンマはそのままキスしたかったんやけどな、

予想通り、頬にちゅーした直後、どやどやとみな
さんお帰りになったんや

結局、腰を抜かした和葉を背負って家に帰って、
みんなから、オマエは何をしたんだ?と言う目で
チラチラ見られるハメになったんや

to be continued