▪️27:00 sweet tea / side Heiji 

「和葉ちゃん、元気?」

「おぉ、めっちゃ元気やで?
剣道も合気道も、頑張って稽古続け
とるしなぁ、腕も上げたで?」

「そうなんだ、良かった」

和葉が大けがしてから一年が過ぎた

時間は経ったけど、現場に遭遇した
姉ちゃんにとっては、まだ自責の念
に囚われるのだろう

「工藤とは仲良うしとんのか?」

「うん、単位取得も順調だし、3年
の秋から渡米する方向で調整して
るんだ」

「そっか、毛利のおっちゃんと妃
弁護士は、仲良うしとんのか?」

「ケンカも派手だけど、デートした
りもするのよ」

「へぇ、凄い変化やな」

「服部くん達のおかげよ」

「オレ?」

「和葉ちゃんが大けがして、服部く
ん、一生懸命看病してたでしょ?
あの時ね、お父さん、今のままじゃ
ダメだって思ったみたい」

「あれ、オレおっちゃんらに逢った
っけ?あの時」

「何か、一度、新一の両親と、うち
の両親も揃って見に行ったみたい
服部くんのご両親にも、その時逢っ
たって、後から聞かされたの」

「へ?そうなん?」

「何かそうみたい
子供だって勝手にそう決めつけてた
けど、ちゃんと自分達なりに歩み
寄って、支え合って、歩いて行くん
だなって、感心したんだって」

オレが病院で和葉といちゃこら楽し
んどったの、オカン達にこっそり見
られとったんかい、と思うと恥ずか
しいけどな

「黒羽達も出来たんだ、次は姉ちゃ
んらの番やな」

「ふふふ、さぁ、どうかしら」

「せそんなん言うたら、工藤、泣く
で、ホンマに」

「どうかな」

「何かあったんか?」

「何も無いわ、怖いくらい順調
でもね、私の心には、引っかかりが
無い訳でも無いの」

「あのことかいな」

「ええ、新一は一生懸命、説明して
くれたけど、気にならないとは言え
ないな、まだ、私に内緒で彼女の
行方を追っている間は」

工藤のアホ、あいつは何をしとんの
や、それどころやないやろ

「姉ちゃん、工藤が選んだのは間違
いなく、姉ちゃんや
オレと和葉がちゃんと、直接本人か
ら聞いとるから、それは間違い」

「うん、わかってる」

「姉ちゃん、工藤には、何でも言え
ええことだけやない、嫌なことも
迷うとることも、や」

「服部くん」

「男と女は違うねんな
オレやって、和葉から聞かされるま
で、和葉がそんなん思うてたなんて
思うてへんかったし

オレは、和葉を思うてしたことを、
和葉は全く違う方へ誤解しとったし

面倒やけど、時間かけて、ひとつず
つ、解決してくしかないねん」

お互い、大事な相手なら、時間を
惜しんだらアカン

「服部くん、変わったね」

「オレが?オレは変わってへん
姉ちゃんらが、気がつかへんかった
だけやん?」

「それは、失礼しました」

「いや、かまへんよ」

その夜、ラボから帰って来た和葉は
笑いながら言うた

「なぁ、平次、工藤くんにな、西野
カナちゃんの、トリセツって曲、
聞いて、女心を勉強してみたらって
言うたらええよ」

和葉が歌うのを聴いて、オレは思わ
ず吹き出した

「ホンマやな、姉ちゃんも聞いたら
ええんちゃうか?」

「ほな、蘭ちゃんには、私が勧めて
おけばええ?」

「せやな、それにしても、世話がや
けるカップルやな」

「それをアンタが言う?
ま、ええわ、とりあえず、これ以上
あの2人がすれ違うのは阻止せんと」

「せやな、それが最優先や
それにしても、この歌詞、凄いな」

「一生もんの惚れた相手に想う、
可愛ええ女心やんか
私はディナーはええから、一緒に側
に居って欲しいな、アンタ忙しいか
らなぁ」

「ふーん、中々可愛ええこと言うや
ないか?」

「アンタの目が節穴なんちゃう?
元々、可愛ええ女の子やったと思う
んやけど?」

「そらスマンかったなぁ、気がつか
へんで」

「わかればええねん」

にやり、と笑った和葉にキスをした

「ほな、手がかかる2人の手助けで
もしましょうか」

「せやね」

2人で同時にそれぞれへメールする

ホンマ、オレのこと、とやかく言う
てたんは、どこのどいつやねん

ちゃんと頑張ってや、工藤ハン

せやないと、嫁候補がどっかのあほ
に攫われてまうで?