東京・港区が区内全10校の中学3年生を、都内初の海外修学旅行を実施すると発表
したのだが。 行く先をシンガポールにした理由は、”英語を活用した体験” が主目的、
後は時差が少なく、治安が安定しており、事故発生時の緊急対応の体制も整備されている
と云うのが港区側の説明だ。
【シンガポール修学旅行】 ネット画像転載
そして港区によると、各家庭の費用負担は、今までの京都奈良修学旅行と同じ7万円
とし、それを超える部分、約50万円(生徒1名)は区が負担。
【港区は国際教育を強調しているがシンガポール事情すらも全く理解していない】
しかもシンガポールにした理由が噴飯ものだ。 純粋に「英語を活用した体験」を
させたいなら、行く先は英国なり米国だろう。 多民族国家の勉強の為にシンガポール
に行くのならまだ理解は出来るが。
シンガポールで話されている英語は、遍く知られている通り、所謂 " Singlish "
(シングリッシュ)「Singapore+English」を合わせた造語。
要するに独特な、言うなればローカル英語だ。
今更言うまでもないが、シンガポールには4つの公用語、つまり英語の他、マレー語、
中国語、タミル語がある。要するにこれらの他言語からの色濃く影響を受けているのが
シングリッシュなのだ。 これを港区教育担当者が知らないとすると余りに無知であり、
恥ずかしいし、承知の上としたら馬鹿としか言い様が無い。
シングリッシュの一例だが、中国語は口語で文末に「了」(ラー)をつけて 「〜だね」
といった意味で使われるが、その影響で例えば シンガポールでは 「OK,了!」
(オーケーラー)や 「Easy, 了」(イージーラー)と英語と中国をミックスして
話すのだ。因みに中国語ではシンガポールは新嘉坡と書く
又、長音の省略、Don’t walk を 「ドントウォーク」 と発音せずに 「ドンウォッ」
等々、そして 「thing」 なら 「ティング」、「think」 は 「ティンク」、「they」
は 「デイ」と発音する、書くとキリが無いのでこの辺で止める。
これは私自身仕事でシンガポールには幾度となく出張し、実際に体験している紛れも
ない事実だ。
事程左様にシンガポールで話されている英語は、英国などのEnglish Speaking country
のそれとは全く違うのだ。港区が「英語を活用した体験が目的」と云うならシンガポール
に行くのは全く的外れなのだ。
シンガポールは当方の好きな国の一つです、為念。
何れにせよ、中学生なら、先ず京都や奈良など古都への修学旅行で日本の伝統文化等を
学習するのが大切だ。 日本を先ず知らずしてイキナリ海外はあり得ない、こんな事を
していたら日本人のアイデンティティーが確立出来ない。