廬山寺(源氏の庭) | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

 廬山寺の本堂から源氏の庭を眺めました。源氏物語の絵巻物に出てくる、雲を形どった苔。紫の桔梗は紫式部にちなんで植えたとか。

 

 昨年7月28日(金)に訪問。桔梗が見頃を迎えていました。桔梗は開花期間が長く、6月に咲き始めて9月に終わるそうです。真夏の暑さにも耐えられる丈夫な花だとは知りませんでした。

 

 廬山寺は紫式部邸跡に建てられました。紫式部(973-1031)は、曾祖父の中納言藤原兼輔(877-933)が建てた旧家で生涯の大部分を過ごしたと云われています。その家で藤原宣孝(?-1001)と結婚生活を送り、娘の堅子(かたこ)を育て、源氏物語を執筆しました。

 

 娘の堅子(1000-1082)は、親仁親王(後の後冷泉天皇)の乳母となり、従三位典侍(ないじのすけ)に昇進。三位であると共に太宰大弐・高階成章と結婚したため、宮廷では大弐三位(だいにのさんみ)と呼ばれました。母子共に優れた文才を持ち、小倉百人一首にも選ばれています。

 

 第57番紫式部の歌。「めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに 雲かくれにし 夜半の月かな」 久しぶりに会えたのに、見たかどうかも分からないくらいに雲に隠れてしまう夜更けの月のように、貴方もあっという間に帰ってしまいましたね、という愛人に対する怒りの歌です。

 

 第58番大弐三位の歌。「ありま山 ゐなの笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする」 有馬山近くの猪名の笹原(猪名川の川辺)に風が吹けばそよそよと音がします。どうして私が貴方を忘れたりするのでしょう。という、なかなか一途な歌です。

 

 裏庭に白い桔梗が咲いていました。庭に降りてはいけないということで、近くで見れなかったのが残念でした。