白鶴美術館(本館) | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

乾邸からさらに北へ歩き、白鶴美術館に着きました。

 白鶴美術館は、白鶴酒造7代嘉納納治兵衛(鶴翁)が、1931年古稀を記念して設立した美術館です。

 

庭に「天壌無窮」の石碑が立っています。天壌無窮とは、天地ともに永遠に続くことです。

 当時、蒐集家の多くがコレクションを公開することを嫌い、蒐集家の没後に優れた美術品の行方が分からなくなってしまうことが多かったので、鶴翁はそれを懸念し、美術館に展示されているコレクションが永遠に遺るように、という願いをこめて美術館を設立しました。

 そんな鶴翁の信念がこの石碑から伝わってきます。

 

建物の雰囲気が奈良の正倉院のようです。

 それもそのはず。鶴翁は奈良の名家に生まれ、幼少の頃から古都の古美術に親しみ、1868年に初めての正倉院展が開かれた時にその手伝いをしたそうです。

 その後、縁故で嘉納家の主として迎えられ、酒造業に力を注ぎましたが、その傍ら茶の湯とともに広く美術への造詣を深め、コレクションの数も相当な数に及ぶこととなりました。

 

この建物の裏に、本館と中庭があります。

 

 中庭の真ん中にある灯籠は、国宝である東大寺大仏殿前の金銅製八角燈籠から直接型を取り、写したものです。

 

6月5日まで春季展を開催しています。春季展のテーマは、「映し・写しと文様の美」。

 

 展示場は2部屋で、古代から中世までの青銅器、漆器・金工品、銀器や鏡、陶磁器など中国の美術品と、経巻(きょうかん。経文を書いた巻物。)、古筆手鑑(こひつてかがみ。巻物や冊子になった歌集などの古筆を切断したものを折本にした物。)、仏教工芸品、絵画など日本の美術品が展示されていました。

 手の込んだ立派な作品ばかりで、機械で作った物に無い味わいがありました。