放課後の教室、ひかるは廊下を見渡した。ホームルームも終わりみんなが帰宅した後ひかるは1人教室に残っていた。


ひかる「...よし」


そう言うと教室のドアを閉め自分の席に座りギターを取り出す。


 〜♪

「いいことなんかない 退屈な毎日さ」
「やりたいこともない 夢なんかひとつもない」

「大人は信じてくれない こんな孤独でいるのに」
「僕が絶望の淵にいるって思ってないんだ」
「And why? 」
「Believe me I really wanna die, don't ya know?
Why? No way I can find my sign」



歌い終わりふと顔を上げると教室のドアが少し開いていた。


ひかる「え...?」


ギターを置きドアに近付く。ガラッ!とドアを開けると1人の生徒がしゃがんでいた。


ひかる「何やってるの?」


「あの、忘れ物取りに来たら...ギターと歌ってる声が聞こえて...」


ひかる「それで、盗み聞きしてたと...っていうかあんた誰?」


保乃「田村保乃、一応同じクラスなんですけど?」


ひかる「あぁ、そうなんだ」


保乃「あんたひぃちゃんやろ?」


ひかる「ひぃちゃん...?」


保乃「そう、だってあんた森田ひかるやろ?やからひぃちゃん」


ひかる「なにそれ...」


ひかるは半ば呆れながら椅子に座り直しギターを持った。


保乃「ひぃちゃんっていつも放課後ギター弾いてるん?」


ひかる「そうだけど、何か?」


保乃「保乃は楽器なんて全然弾けないから、ひぃちゃん凄いと思う!」


ひかる「っ、あ、ありがと...」


ひかるは恥ずかしそうに顔を赤くしながら目を逸らした。


ひかる「...と、ところで、忘れ物は?」


保乃「あっ、忘れとった!」


保乃は目を大きく開いて自分の席に走った。引き出しから筆箱を取り出した。

保乃はひかるの横の席に座りふにゃっとした笑顔でひかるを見つめた。


保乃「ねぇひぃちゃん、また何か歌ってよ!」


ひかる「え、あぁ、分かった」


〜♪

「絶対運命だって 僕が確信したのは
あんな人混みの中で 君とばったり会ったこと」

「僕たちはなぜだか 笑ってしまったね」

「何でここにいるの?お互いに驚いて」
「偶然の確率計算しても答えは出ない」
「待ち合わせたって 会えないことがある
それなのに 何か不思議な力に
(引き寄せられて)
自分のその秘密に気づかされる」



保乃「やっぱひぃちゃん凄い〜!」


歌い終わると保乃ちゃんは目を輝かせながら拍手をしてくれた。


ひかる「ありがと...っ、褒められるって、こんなに嬉しいんだ...」


保乃「ひぃちゃん...これからも、保乃に歌もっと聴かせてよ!」


ひかる「えっ、いいの?私なんかの...」


保乃「うん!ひぃちゃんの弾くギターが良いの!」


ひかる「...私の、ギターが...」


保乃「うん...、じゃあ保乃そろそろ帰るな?」


荷物を持ちドアを開けた保乃をひかるは呼び止めた。


ひかる「保乃ちゃん!...明日もギター、聴いて欲しいな...」


保乃「うん!当たり前やん!」


笑顔で頷くと保乃は走って帰って行った。残されたひかるは外を見つめながら呟いた。


ひかる「...保乃ちゃん、か...」








続くかも...?