「逮捕=有罪」?「訴えられた=敗訴」?
よく勘違いされがちなことの1つとして、
ニュースで、「〇〇容疑者逮捕」や、
「〇〇会社が著作権侵害で訴えられました」
などという報道がなされることがありますよね
その時、
「この人はこういう犯罪をした人なんだ」
とか
「この会社こんな悪いことをしてたんだ」
とか
思うことがありませんか
でも、実は、
それは不正確で、
中には、
間違いであることもあります
今回は、その点に関して、
弁護士として、法律的な観点も含めて、
コメントしてみようと思います
「逮捕=有罪」
既にしっかりと理解されて、
報道に触れている方もいらっしゃると思います
でも、どうしても、
逮捕と聞くと、
この人は犯罪者なんだ、
と受け取ってしまいがちになるものですよね
そのこと自体は、
ある意味やむを得ない部分
もあるのだろうと思います
報道で逮捕のシーンが流れる時は、
真ん中に容疑者を置いて脇に挟んで歩いたり、
容疑者に手錠がかけられて、
さらに布が被されていたりして、
どうしても悪いことをした、
という印象が強まるのだと思います
そして、そのイメージがあるので、
「逮捕」と聞くと、
あたかも、その人が犯罪者である、
ということが確定してしまったかのように感じる、
ということなのではないかと思います
ところが、実際には、
逮捕=有罪ではありません
さらに言えば、
逮捕されたから有罪で、
逮捕されないから無罪
というわけでもありません
逮捕されるのは、
あくまでも
「犯罪の容疑がかかっている人」(容疑者)
であって、
犯罪者(確定)ではありません
もちろん、
逮捕された時点で、
犯罪を行った人であることが、
ほぼほぼ確実な場合もあります
それでも、
法律的に言えば、
犯罪者として裁判で有罪が確定するまでは、
逮捕された人は、
あくまでも
「犯罪の容疑がかけられている人」
であって、
犯罪者(確定)ではないです
したがって、
最終的に、
その人が実際に罪を犯して、
償うべき犯罪者かどうかは、
刑事裁判で有罪判決が下され、
それが確定するまでは決まらないということです
ただし、
日本の実情としても、
逮捕された時点で、
犯罪をした嫌疑がかなり濃厚だったり、
現行犯での逮捕だったりして、
その後、
実際に有罪になるケースが多いことは事実です
一方で、
中には、少ないながらも、
冤罪
だったというケースもあります
ちなみに、
逮捕というのは、
あくまでも、
容疑者の逃亡を防いだり、
証拠隠滅をさせないため
などの目的で行うものです
本来、
逃亡や証拠隠滅の恐れがあるなどの、
法律で定める条件に合致しなければ、
逮捕はできません
「訴えられた=敗訴」
「逮捕=有罪」ではないということと同様に、
「訴えられた=敗訴」ではありません
日本の民事裁判は、
よほどの例外的なケースではない限り、
基本的に、
裁判を起こす事自体は可能です
(裁判を起こすための手続面での条件等を整える必要はあります。)
したがって、
裁判を起こされた(裁判の「被告」になった)
からといって、
訴えの内容自体が正当かどうか
は別問題です
特に、
民事裁判は、
訴えが起こされたからといって、
どちらが勝つかは、
まさに
ケースバイケースであり、
どちらが有利、
ということは基本的にはありません
結局、
訴える側と訴えられた側が、
裁判の中で、
どのような主張反論や証拠提出を行うか次第
ということですね
ポイントは
勘違い・誤解を生まないために大事なのは、
最終的な結末までを見て判断すること
です
ただ、
現実には、
結果が出るまでには
時間がかかることが大半です
また、世間が注目するような大事件でない限り、
結末(裁判結果)まで報道されないことも多く、
情報を追うにも限界がありますよね
もちろん昨今では、昔に比べて、
情報を追い易い時代になってきています
ただ、
情報を追うことが難しければ、
せめて、
「逮捕」や「訴えられた」
という報道を見た時に、
「容疑者は認めているのかどうか」
や
「訴えられた相手はどのような反論をしているのか」
といったことを、
確認したり発想する視点を持つことが、
重要なのかもしれませんね




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