今回は、
代理出産の法制化議論で弁護士が思うこと
というテーマについて、
コメントをしたいと思います。。
下記の記事についてのコメントです。
【取り上げる記事】
代理出産(代理母による出産)とは![]()
✔️ 子どもを望む夫婦等の受精卵(胚)を第三者の女性の子宮に移植し、その第三者(代理母)による妊娠出産を経て、子どもを授かる方法
※精子提供や卵子提供による方法もあり得る。
✔️ 日本国内では承認されていない
(法整備が未了)
✔️日本産婦人科学会も実施を認めていない。
✔️国内では認められていない一方、
子どもを持ちたい人の選択肢として、
海外で実施されるケースは相当数ある。
今回のキーワード
代理出産の法整備に伴う課題![]()
アメリカやロシアなど、
現時点で代理出産が法律上認められている国があり、
その中でも、アメリカでは、一部の州を除き、
商業的な代理出産も合法化しているようです。
日本においては、
現状では、代理出産自体、法整備が未了であり、
かつ、
日本産婦人科学会は、
代理出産の実施を認めない声明を出していることから、
日本では実質的には実施が認められていない、
と考えられます。
(法律で禁止されているわけではありません。)
今後、日本において、
代理出産を認めるかどうか、
という点に関しては、
最終的にどちらの方向になるにせよ、
非常に慎重な議論の上で、
懸念されるリスクを可能な限り低減するための、
しっかりとした法整備が必要になると考えます。
代理出産の法制化議論で弁護士が思うこと![]()
代理出産自体の是非
という倫理的・道徳的な観点からの議論に関しては、
ここでは触れず、
あくまでも法整備をすることに伴って懸念されることについて、
コメントをしたいと思います。
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弁護士として最も懸念しているのは、
代理出産を認める法整備をすることで、
代理出産がビジネス化(商業化)し、
そのことにより、多くの法的トラブルが発生するのではないか
ということです。
これはあくまでも可能性の問題ですが、
代理出産がビジネス化してしまうと、
当然利益追求を目的とする企業が参入し、
その中には、
代理出産をする女性をいわばアルバイトのような形で募集し、
後述するようなリスクに対する補償を十分備えることなく、
代理出産の仲介を行う企業も出てくる恐れがあります。
(代理出産の場合の費用は高額になることが一般的なため、
そのような高額な費用を受け取ることを目的に、
代理出産を選択する女性も少なからず出てくる可能性があります。)
そうすると、
さまざまな法的なトラブルが発生する恐れがあります。
当然ながら妊娠・出産は母体に非常に負担のかかるものであり、
例えば、代理出産した女性の身体的な負担による影響が後々判明し、
責任問題に発展することも考えられます。![]()
また、金銭的なトラブルが起こることも考えられますし、
そのほかに代理出産に伴って想定されるトラブルとして、
例えば、以下のようなケースでどのように対処をするか、
可能な範囲で想定して、これらをできる限り未然に防ぐような、
法律を整備することが望まれます。
出産後に出産した第三者が子どもを引き渡さない(子どもと離れたくなくなった)
代理出産の第三者が出産により死亡などの結果となった場合の補償
代理出産を依頼した側が、出産後に子どもを引き取らない
(子どもに障害があることが判明するなどして)
など
これらのトラブルを可能な限り防止するためには、
代理出産をする第三者との間の契約書を作成する必要があると思いますが、
その内容を、どのようにするか、という点でも、
いわゆる「フォーマット(ひな形)」、「モデル契約書」が必要になるでしょう。
もし法律上代理出産を認めるのであれば、
国としては、個々人の契約に任せるのではなく、
トラブルを可能な限り防止するために、
一定の契約書の「例」を示す必要があるでしょう。
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例えば、上記のようなリスクが発生した場合の対応方法を予め記載したり、
昨今議論になっている、
「出自を知る権利」(子どもが自らのルーツを知る権利)
をどうするのかという点についても、
契約書の中に盛り込むことが必要になるかもしれません。
このように代理出産に関して法律で認めることに伴って、
さまざまな法的トラブルが発生することが考えられます。
ただ、代理出産自体は、
どうしても夫婦間で子どもがもうけられない場合の手段として、
一定の需要があることは否定できない事実ではあると思います。
したがって、
今後、日本で、
代理出産に関して法的に容認した上で、法整備を行うのであれば、
こういった視点を含めて、
できる限り想定されるトラブルを未然に防止できるような規定を準備することが、
求められるのだと思います。
特に、
安易なビジネス化には慎重になるべきであり、
民間企業の参入を仮に認めるとしても、
その条件は厳しいものにする必要があるのではないかと考えます。
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