今回は、
【不妊治療と離婚問題】
について、
解説をしていきたいと思います。
不妊治療中に離婚に発展する原因とは
✔️夫側の不倫
✔️夫婦間の温度差(夫の非協力)
✔️子どもを作るために離婚を選択
など
離婚のご相談やご依頼を受けている中で、
「不妊治療中に、
夫が不倫して離婚問題に発展した」
というケースが少なくありません。
また、不妊治療をしている中で、
夫婦間の温度差
(特に夫側の非協力)が原因となって、
離婚問題に発展する
ということも実際にあります。
この場合は、
不倫などというはっきりとしたきっかけがあるわけではないものの、
不妊治療に対する考えや価値観の違いなどによって、
夫婦間の喧嘩が絶えない事や、
すれ違いで夫婦仲が冷め切ってしまい、
離婚の話に進む、
というようなことです。
また、それ以外にも、
不妊治療をしたものの、
子どもができなかったことから、
どうしても子どもを作りたいということで、
別のパートナーとの再婚を考え、
離婚を選択をする、
というケースもあります。
それでは、実際に、
「こうした理由で離婚が可能なのか」
についてです。
まず、当然のことですが、
【夫婦の双方が離婚することに同意した場合】は、
どんな理由であったとしても、
離婚は可能となります。
問題は、
【夫婦の一方が離婚を拒否している場合】です。
では、夫婦の一方の拒否の場合には、
離婚が可能なのかどうかという点です。
一方が拒否している場合、
夫婦間の話し合いでの解決は難しいです。
弁護士などの第三者を介して、
話し合うことも良いでしょう。
最終的に、
一方が離婚を拒否している場合でも、
裁判所が離婚と認め、
離婚が成立するのは、
「法律上の離婚原因」が存在する場合です。
つまり、
話し合いでは決着がつかない時の、
最終手段は、
「裁判を起こして離婚するかどうか」
になります。
「法律上の離婚原因」とは
✔️法律(民法770条)で定められている裁判で離婚が認められる条件のこと
✔️以下の5つが存在する
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、
回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
※本記事では、
「1.」に触れます。
次回の記事で、「5.」について触れる予定です。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
まず、法律上の離婚原因として挙げられているのが、
「不貞行為がある場合」です。
これはいわゆる不倫のことですが、
普段日常生活で使う不倫という言葉とは、
必ずしも一致しません。
ごく簡単に一言でいうと、
【配偶者以外の第三者と肉体関係を持った場合】
が不貞行為に該当します。
(厳密にはどこまでが不貞行為に当たるかというのは、
細かい議論がありますが、
今回は割愛します。
もしその点でお困りの方は、
詳しくは弁護士に相談をおすすめします。)
したがって、不妊治療中に、
例えば、
夫が、妻以外の第三者と肉体関係を持った場合は、
夫側の不貞行為に該当しますので、
夫が「離婚したくない」
と拒否していたとしても、
妻が離婚裁判を起こすと、
基本的には離婚が認められる事になる、
というわけです。
ちなみに、これは、
あくまでも妻側が離婚を希望して裁判を起こした場合です。
当たり前ですが、
夫が不貞行為を行なっていて、
その上で、離婚を希望して裁判を起こしても、
妻側が離婚を拒否していれば、
この「1.」には該当しません。
(不貞行為を「した」側が離婚を訴えた場合は、この1.には該当しない。)
自分で不貞をしておいて、
「離婚したい」
という希望が通らない、
というのは感覚的に分かると思います。
法律上は、この夫を「有責配偶者」と呼びます。
この有責配偶者からの離婚請求は、
原則として認められない
ということになっています。
つまり、
不倫をした側は、
相手が同意してくれない限りは、
離婚できない、
ということになります。
(例外はあります。)




✔️夫婦間の温度差(夫の非協力)
✔️子どもを作るために離婚を選択
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