韩松の『医院』を読みました。
きょう開催された中国語原書会で紹介させていただきました。
原書会の様子は天天さんのブログでどうぞ!
買った場所は東方書店。表紙と小見出しに惹かれて衝動買いです。
韩松は、新華社通信の記者でありSF作家でもあります。
中国では「科幻(SF)四天王」の一人。
(他は『三体』の刘慈欣、王晋康、何夕)⇒原書会で郝景芳と言ってしまいました。すみません!
これがですね・・・実に意味不明でチンプンカンプンで・・・・
SF作品は今までに『三体』、『北京折叠』、周浩暉の作品を何作か、他短編集をあれこれ読んでいましたが、どれもとても面白かったのです。
それなのに・・・
まあ、SFは特殊なのでその世界観に慣れるまでは日本語の本でも100ページは読まないとですが、その100ページを超えてもよくわからない。
一体なんなんだ?と。
筋が通らないったらないんですよ。
もう頭にきてしまい、パソコンで「韩松 看不懂」で検索したところ、
「最近刚接触韩松的小说,发觉完全看不懂啊!」
という叫びを発見したり、「韩松の作品は好き嫌いがものすごくわかれる。嫌いな人は徹底的に嫌い」という書評を見つけ、なんだか心強く思って読み進める決心をしました。
ストーリーは・・
本日の原書会でも発表したのですが、もう話してても意味不・・・聞いていた方みなさんも非常に意味不・・・だったことと思います。汗
とりあえずはしょって説明しますと、(箇条書きにしちゃおう)
(注)以下ネタばれ↓
①主人公、出張先のホテルでミネラルウォーターを飲んだところ腹痛で倒れる。
②ホテルの従業員の女性2人に病院へつれこまれる。
③病院は小さな街のような状態で、商店あり、遊んでいる人あり、苦しんでいる人あり、診断を求めて殺到している人たちあり、元患者の家族のテロあり、死体あり、虫這いずり回っていたりもあり・・とカオス。
④さまざまな検査をされたが治療をしてもらえず。逃げ出そうとしたが、外に出てみると町中すべてが病院で埋め尽くされていた。
時代は“药时代”という、全ての人は病院に所属するという社会だったのだ。
⑤女性患者と知り合う。彼女は母親の胎内にいる時から遺伝子治療をされ生まれ、25歳の今まで病院を出たことがない。
⑥彼女の願い「私はどうやって死ぬのか?」「医者はどうやって死ぬのか?」を一緒に調べてほしいと。
⑦医者の死体を求めて病院中を探索する。病室、霊安室(いたるところにある)、手術室、研究室・・どこに医者の死体はない。
⑧2人はお互い相互治療をして(病院のあらゆる汚物が集まってる中で交わるというね・・)医者へ昇格するも、彼女はなぜか自殺。(なんで??なんなの??)
⑨主人公は腹痛がひどくなり医者から患者へ降格し、まさに手術をされようとする時に別人格の自分が覚醒する。(第2大脳皮質で腹の中にいる)
⑩彼の指導に従い、遺伝子実験で失敗した奇怪な生き物が蠢く地下に潜んでいた逃亡仲間たちと病院を脱出し、病院のないという健全な海辺(並行次元と思われる)へ向かう。
⑪追手の医者を殺したりしつつ無事に海辺へ到着。待っていた船に乗る。
⑫船の中は脱出してきた病院とそっくり。死んだはずの友人や医者もそろっている。(クローン人間と思われる)そこもまた病院だったのだ!
⑬主人公、手術をされてしまう・・・・茫然自失の主人公。
や、茫然自失なのはこっちだよ!!!!!!!!
本編が始まる前のプロローグは、3人の宇宙飛行士が孔雀明王号という宇宙船に乗って仏陀を探しているシーンでした。
火星から孔雀のような物体が空へ飛び立つのを見て着陸してみると、そこは病院の廃墟であった、という謎のストーリー。
わかんない。
くやしいので、韩松のインタビュー記事や中国の方の書評などを探してあれこれ読んでみました。
どうやら、韩松が描きたかったのは病院というものの問題点や、病院は宇宙の、社会の縮図ではないか?ということのよう。
病院ではでは遺伝子治療のような高度な技術革新があり、その一方では迷信がまかり通る、ひたすら命を助ける素晴らしい医者がいる一方で商売至上主義の医者がいたり・・・
また、医者と患者、患者と患者、神と医者、等々役割が変わっていったり・・・(いまひとつわからぬ)
それで韩松さん、ラストは自分でも解決できてないようです。
医療改革についてSFという手法で表現してみたけれど、まだ良い方法が見つからず、読んだみんなも考えてみてほしいって。
うううむ、そんなこと言われてもねえ・・・・・・・・汗
とは言え、後半の病院を脱出するあたりからはザ・SF!になって面白くなってきました。
第2の自分が語る「人は小宇宙であり宇宙は大人体なのだ」とか「意識と思考は違う」とか「宇宙の動きはすなわち地獄である」とか「人類のこざかしいやつらは宇宙は十一次元まであるっていってるぜ!」とか、かなり仏教的であったりスピリチュアル的であったりして興味深かったです。
この本、実は彼の科幻三部曲“医院”系列の第1作だそうで、今年の夏に第2作『驱魔』(エクソシズム・悪魔祓い)が出版されています。
もうね、こうなったらこちらも読むしかないですよね!(タイトルもナイスだし)
この先どうなっていくのか非常に気になります。
また多分「わからん!!」と怒りながら読む事になりそうだけど・・