テーマ「灰色の男たちとの戦いに作者がこめた心」

モモは混沌とした世界を再生させる役を担っていた。


モモが円形劇場で目覚めたとき、「時間の源」へ行っていたのは1日だけと思っていたのに、実際は1年が経っていて、街の人たちも友だちも灰色の男たちに洗脳され、すっかり変わってしまっていた。

モモがいまだかつてない「孤独」を感じたとき、モモの前に灰色の男たちが現れた。

恐怖で立ちすくむモモに、「真夜中に会おう」と言って立ち去る。

モモは恐怖で隠れて寝ていたとき夢を見た。

夢の中で見たのは、友だちたちが苦しんでいる姿で、モモは友だちたちを救いたいと思い始めた。


河合さんの解説、

「今まで怖さに隠れたり逃げたり、自分を守るだけだったが、怖さに向き合ったとき、怖さ、不安、心細さなどの反対の、友だちを助けるのは自分しかいないという勇気に変わった。」と。


真夜中に現れた灰色の男たちは、「一人ひとりから、ちまちまと時間をかき集めることにうんざりした。マイスター⋅ホラのところへ案内しろ!」と命令した。

「たとえできたって案内しない!」とモモ。


河合さんの解説、

「それまで受動的だったモモに、自然(ジネン)の力が加わった。 『』には、〈みずから、主体的、自分が…〉という意味と、〈おのずから、勝手にという源から〉の意味があり、モモの力が自我だけのリアクションだけではなく、星の源と一緒になった。」と。

そこにカメのカシオペアが現れ、「ホラのところへ行こう」と誘う。

灰色の男たちは後をつけるが、「サカサマコウジ」で後ろに下がって行った。


マスター⋅ホラからモモは、

「灰色の男たちは盗んだ時間を地中に隠している。 それを取り出しながら生きている。 それを止めれば、灰色の男たちは消えていく。 自分が1時間だけ眠り時間を止めるので、その間にその場所に行き、男たちに盗まれた時間を与えないようにしなさい」

と指示を受けるが、

「私一人でやれるとは思えません。」とモモ。

そのとき、カメが「一緒に行きます。」と言ってくれ、少し勇気がでたモモは、時間の隠し場所へ向かう。


河合さんの解説、

「灰色の男たちは、街の人たちから奪った時間の花びらを固めて葉巻にし、それを吸うことで息長らえていた。 ある種の自我の依存症ともとれる」と。


ようやく「時間の源」にたどり着いた灰色の男たちだったが、時間がすべて止まっていて、盗めないとわかると、急いで地中の「葉巻」を隠している金庫へと向かう。

途中メンバーが少しずつ消えていき、最後の一人が金庫にたどり着くと、モモが金庫の扉の前に立ちふさがっていた。

「時間の花をよこせ‼」とモモに怒鳴ったとき、男の口から葉巻が落ちてしまい、男は「いいんだ。 これでいいんだ。 何もかも終わった。」とつぶやきながら消えて行った。

モモが金庫の扉を開くと、盗まれた時間の花は元の持ち主のところへ返っていき、世界はまた動き始めた。

〈おわり〉

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河合さん、「モモは灰色の男たちと戦わなかった。 彼らは自滅していったのです。 自我は私たちの心の持ち方で消える。」と。

自我と戦わず、それに気づき続けていれば消えていく(振り回されなくなる)ということでしょう。

最後に作者エンデからのことば、

「長い旅に出ていたとき(人生のこと?)、奇妙な客にあった。 奇妙というのは、その男の年齢が分からないということです。 その男に聴いたこの話は、過去に起こったこととしてもいいし、未来に起こることとしても… どちらにしても変わりません。 と話した。」と。


河合さん、「灰色の男たちは、繰返し現れるということでしょう。」と。

そして、「これはファンタジーですが、ファンタジーでなければ語れない真実もありますね。」とも。

伊集院さんは、「いままで「100分de名著」で取り上げられた本は、4回(25分ずつ)終わってから読もうかな?と思っていたのですけど、今回は始まって直ぐに読みたい!と思い、いま途中まで読んでいます」と話されていました(^ー^)

〈追記〉

いまお風呂上がりに、「マツコの部屋」を観たら、「平成レトロ」の収集家が平成の頃の若者の部屋の再現を紹介していて、

その本棚に「モモ」があり、マツコさんが、「あっ! モモ。 1度は通る道よね。 でも読みきった人がほとんどいない。」と。

シンクロが速くなっています(^ー^)