森信三師は「日本が変わり始めるのは2025年頃であり、2050年頃には日本が世界を牽引する存在になる」と予測されました。
だが、その為には日本人が「道徳心」「公共心」を持たねば為らないとも言われます。
「今だけカネだけ自分だけ」の風潮と真逆の生き方こそが明日の日本を創るのです。
「頂門の一針 6774号」より転載します。
【暗黒時代はもうすぐ終わる】 北野幸伯
私は、「国家ライフサイクル論」という手法で、長期の予測を行っています。それで、今までたくさんのことを当ててきました。
わかりやすい例をいくつか。2005年に出版した初めての本『ボロボロになった覇権国家アメリカ』の中で、「アメリカ発の危機が起こり、アメリカが没落する」ことを予測しました。
2008年、アメリカ発「100年に1度の大不況」が起こり、「アメリカ一極時代」は終わりました。同じく『ボロボロになった覇権国家アメリカ』の中で、「2008年から2010年にかけて危機が起こる」「だが中国は、この危機を短期間で克服する」「しかし、中国の高成長は2020年まで」と予測し、いずれもそうなりました。
2007年発売の『中国ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』では、ロシアについて「超大国に返り咲くことはできない」と予測しました。当時ロシアは原油高でイケイケで、プーチンは「ルーブルを基軸通貨にする!」と宣言していました。しかし、結局、私の予測通り、ロシアは超大国になることができませんでした。
2014年、集英社から発売された『クレムリン・メソッド』の中で、インドが超大国になるという予測をしています。あれから10年経ち、いまや誰もが、「インドの時代が来ること」を確信するようになりました。というわけで、「国家ライフサイクル論」を使えば、極めて精度の高い未来予測ができることが証明されています。
▼バノンさんのバイブル『フォース・ターニング』とは?数年前、興味深い話を聞きました。「80年周期」の話です。ネタ元は、トランプさんの首席戦略官だったバノンさんが「バイブルがわりに読んでいる」と公言していた ◆『フォースターニング』 詳細は↓ https://amzn.to/42BzxOo
ざっくり言えば「歴史は80年周期で繰り返す」という内容です。どうなんでしょうか?たとえば、2008年の「100年に1度の大不況」は誰もが1929年に起こった「世界恐慌の再来だ!」と思いました。約80年ぶ(正確には79年ぶり)の大経済危機でしたその後の動きはどうでしょうか?
1934年、ヒトラーがナチスドイツの総統になりました。それから79年後の
2013年、現代のヒトラー・習近平が中国の国家主席になりました。
1939年、第2次世界大戦がはじまりました。それから79年後の2018年、ペンス副大統領の「反中演説」から「米中覇権戦争」がはじまりました。
というわけで、なんとなく、「繰り返すのかな~~」という感じです。もちろん、正確に繰り返されるわけではありません。またぴったり80年で繰り返されるわけでもありません。ですが、「興味深い現象」と言えるでしょう。
▼80年周期内の春夏秋冬
80年周期は、さらに20年ずつ4つにわけることができます。言ってみれば、春夏秋冬です。
・春 これは私の国家ライフサイクル理論の、「移行期」と「成期前期」にあたるでしょう。前の体制が崩壊し、新しい体制ができ、急成長していく。
・夏 これは、「成長期前期」「成長期後期」にあたるでしょう。新しい体制が確立され、繁栄を謳歌します。
・秋 これは、「成長期後期」から「成熟期」に当たるでしょう。春に出来上がった体制が「収穫の秋」を迎えます。ところが、冬に向けて、春に出来上がった体制の崩壊がはじまっていきます。
・冬 危機の冬が到来し、春にできた価値観がもはや古くなり崩壊していきます。そして、新しい価値観に基づいた新たな春がやってくるのです。 本当でしょうか?
▼40年栄えて、40年かけて滅ぶ 少し検証してみましょう。繰り返しますが、「ぴったり80年」ではなく「ざっくり80年」であることを意識してください。誰もが「そうだよね」と納得する「歴史の転換点」は、第2次世界大戦が終わった1945年です。これを基準年としましょう。その80年前は、1865年です。1868年の明治維新「直前」といえるでしょう。その後、江戸幕府が崩壊。明治天皇を中心に、欧米型の新体制ができあがっていきました。これが「春の時代」です。
さて、20年後の1885年、日本では伊藤博文が初代内閣総理大臣に就任しました。新体制が固まったのです。
1889年には大日本帝国憲法が公布れました。
1895年、日清戦争に勝利。
1905年、日露戦争に勝利。
1885年から1905年の20年間が「夏の時代」です。
世界一の陸軍大国ロシアに勝利したことで、日本は「世界の大国」と認知されることになりました。さて、1905年から1925年は「秋の時代」。日本は、「収穫の秋」から冬(危機)にむかっていきます。まず、日本は1914年から1918年に起こった第一次世界大戦の戦勝国になりました。
そして日本は、1920年に設立された国際連盟の常任理事国になったのです。まさに日本は、「収穫の秋」の時代を迎えていました。しかし、冬の兆しも確かにでていたのです。
日露戦争前まで良好だった日米関係は、南満洲鉄道問題で悪化していました1923年には日ロ戦争の勝利を大いに助けた日英同盟が破棄されました。
日本はこの時代、「収穫の秋」でした。一方で、「夏の時代」に良好だったアメリカ、イギリスとの関係が最悪になっていた。日本は、破滅の冬に突入していきます。
1925年から1945年は、「冬の時代」です。
1931年、満州事変
1932年、建国
1933年、国際連盟脱退。
1937年、日中戦争開始
1941年、日米戦争開始
1945年、敗戦
まさに「冬の時代」でした。
▼日本の冬は、もうすぐ終わる。
さて、1945年から1965年が、次の「春の時代」です。日本は1945年から1952年まで占領され、GHQが新しい体制を構築していきました。
経済では高度成長がはじまっています。たとえば1960年の名目GDP成長率は21.4%、1961年は20.8%。実質GDP成長率は1960年13.3%、1961年は11.9%もあったのです。
@参考↓ https://www.komazawa-u.ac.jp/~kobamasa/lecture/japaneco/gnp/gnp1952.pdf
1965年から1985年が「夏の時代」です。
1968年、日本のGNPが、世界2位になりました。
1979年には、社会学者エズラ・ヴォーゲルの
◆『ジャパン・アズ・ナンバーワン』詳細は↓ https://amzn.to/3Swi996が出版されました。
当時は、世界中の人が、「日本はアメリカを越えるだろう」と思っていたのです。1985年から2005年が「秋の時代」です。日本は1985年から、「収穫の秋」に入りました。いわゆる「バブル時代」です。国民の90%以上が、「私は中流階級」と考えていた。金があり余っていて、実に幸せな、浮かれた時代でした。私もよく覚えています。
しかし、1990年にバブルが崩壊し、いわゆる「暗黒時代」に突入していきます。2005年から2025年が、「冬の時代」「秋の時代」にはじまった暗黒時代は、延長に延長を重ねてきました「暗黒の10年」が「暗黒の20年」「暗黒の30年」になっていったのです。
しかし、「フォース・ターニング」の話が本当であれば、「冬の時代」は、来年2025年で終わります。それで、既存の価値観が、どんどん崩壊しているように見えます。「既存の価値観」は、「春の時代」(1945年~1965年)に作られました。それは、「会社中心」で、なおかつ「パワハラ」「モラハラ」「セクハラ」が日常茶飯事の価値観だったといえるで
しょう。もちろん、「昭和の戦後は全部悪かった」とは言いません。勢いがあり、経済はどんどん成長していたのですから。ですが、実際「パワハラ」「モラハラ」「セクハラ」は「当たり前」の日本だったのです。
冬の時代が終わりに近づいているせいか、最近、絶対的と思われていた権威がどんどん崩壊しています。ジャニーズ(セクハラ)宝塚(パワハラ、モラハラ)吉本(セクハラ)つい最近まで「何をしても誰からも叩かれない」と思われた存在が厳しくバッシングされています。
他にも、安倍派、二階派、岸田派が解散したこと。安倍元総理が、財務省こそが暗黒の30年を作った真犯人であることを告発した
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が大ベストセラーになったこともそうでしょう。いずれにしても、「冬の時代」は後1年で終わり、新しい春の時代がやってきます。そして、冬から春への移行は、前回に比べ、比較的穏やかに進む可能性が高いのです。
しかし、一つだけ注意が必要です。もし、台湾有事→ 日米台vs中国戦争が勃発すれば、冬から春への移行が、前回同様の悲劇を伴う可能性がでてきます。だから私たちは、全力で台湾有事の勃発を阻止する必要があるのです。春は近い。このことを知って生きていきましょう