【虐待死も関係なし】
「きょうよりか、もっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください」
2018年3月に虐待死した東京目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5歳)である。

「お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」
2019年1月学校のアンケート用紙にSOSを発した後に発覚し、父に殺された栗原心愛(みあ)ちゃん(10歳)である。

どちらも児童相談所(児相)が案件を抱え込み、死なずに死んだ命を「救えなかった」ものだ。
全国の児童福祉司は約3800人、児相への虐待相談は10年で3倍以上、約16万件に急増する中で彼らは仕事している。

子供を虐待し殺してしまう鬼畜のような大人は必ず一定数存在する。
そして「人権だ」「プライベートだ」「個人情報の秘匿だ」と権利意識を振りかざして生きている。

虐待者の前で児相は殆ど無力であり、悪鬼のような人間と対峙する力も迫力もない。
それを熟知する厚労官僚は人権やプライバシーと言う殻に籠り、虐待死する子供たちを「見殺しにしてきた」と言える。

若し警察との「虐待情報の全件共有」があったらどうなるだろう。
警察官の数は全国で29万人。彼らの力を借りる訳にはいかないのだろうか。
少なくとも児相より交番のお巡りさんが巡回すれば、救われる命が増えるように思える。

だが、その警察との虐待情報を共有する事に反対する組織が厚労省である。
そんな事をすれば虐待する事に悩む親から「相談がなくなってしまう」と言うのである。

詭弁としか言いようがない。子供を虐待するような親が児相に相談するとは考えられない。
通報は、診察した医師、泣き声を聞いた近所の住民であり、本人の通報や相談などほぼ皆無である。

これに反対する厚労省は「自分の権限」を侵される事が嫌なのだろう。
警察との話し合いなど「自分たちこそ(虐待の)専門家だ」と思い込む彼等には耐え難い事なのだ。

子供の命を守るのではなく、自分たちの面子や権限の方が重要なのである。
その為に児相は「増員」を要求するだけで、警察との全件情報共有に常に否定的だった。
そもそも命を守ると言う発想が欠ける官僚たちにより、日本人の命は危機に晒されている。

以上「疾病2020」門田隆将著より

続いて「頂門の一針 6769号」より転載します。

【岩盤保守層どこへ向かう】  岩田温氏

最大派閥・安倍派消滅で岩盤保守層どこへ向かう「LGBT法成立時点で終焉」

幹部に責任問う声
自民党安倍派(清和政策研究会)は1日午後、最後の議員総会を東京・永田町の党本部で開く。派閥のパーティー収入不記載事件で会計責任者が在宅起訴されたのを受け、解散方針を決定していた。国民の政治不信を高めた悪質な「裏金」事件を受け、党内には、事実上トップの塩谷立(りゅう)座長のほか、「5人衆」と呼ばれる派閥幹部に政治責任を取るように求める声もある。安倍晋三元首相が率い、「保守路線」を主導してきた最大派閥の消滅により、憲法改正や安定的な皇位継承をめぐる議論、北朝鮮による拉致事件解決などへの影響も懸念される。
「岩盤保守層」が支持した自民党保守派は今後どうなるのか。

◇「国民の皆さん、党員をはじめ自由民主党関係者の皆さん方の信頼を裏切った。心から深くおわび申し上げる」

塩谷座長は1月19日、解散を決めた臨時総会を終えた後、こう陳謝して深々と頭を下げた。

安倍派は同31日、政治団体「清和政策研究会」の政治資金収支報告書の2020~22年分について訂正を総務省に届けた。政治資金パーティーによる収入を計4億3588万円増額し、所属議員ら計91人が関係する政治団体への寄付支出は、計約4億2700万円増額した。

同派が、政治資金収支報告書に所属議員へのキックバック(還流)を記載せず、「裏金」としていたことは許されない。不記載・裏金化は派閥主導で継続的になされており、悪質性が高い。派閥解散も当然だろう。

東京地検特捜部による立件を受け、党内では安倍派以外に、岸田派(宏池会)、二階派(志帥会)、森山派(近未来政治研究会)、茂木派(平成研究会)で派閥解消の動きが出ている。

清和政策研究会は、1962年に福田赳夫元首相が旗揚げした「党風刷新連盟」を起源とし、首相退陣直後の79年に派閥として発足した。2000年以降は森喜朗、小泉純一郎、安倍、福田康夫の4首相を輩出した。

特に、安倍氏は「戦後レジームからの脱却」を掲げて登場し、安全保障法制や教育改革など将来を見据えた国造りに挑戦した。第1次政権を含む通算在任日数は3188日でいずれも憲政史上最長となった。憲法改正や拉致事件解決などは後進に託された。

安倍氏が22年7月に凶弾に倒れた後、同派は塩谷氏を座長に、「5人衆」の松野博一前官房長官、萩生田光一前政調会長、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長、高木毅前国対委員長らが集団指導体制を引いた。

有馬氏「安倍氏の『顔』で戦ってきた議員も今後は自力で」
東京地検特捜部は幹部らの立件を見送ったが、安倍派は閣僚や党幹部から一掃された。まず、安倍派をどう見るか。

政治評論家の有馬晴海氏は「現在は『安倍派所属』というだけで有権者の強い反発を招きかねない局面だ。派閥解散で"無派閥”になり、総裁選や総選挙に臨めることに所属議員は安堵(あんど)しているのではないか。所属議員は今、地元を懸命に回り、支持者らへの説明に奔走している。安倍氏の『顔』『知名度』で戦ってきた議員も己の力で勝ち抜かなければならない」と語る。

安倍派議員のふがいなさを指摘する声もある。

ジャーリストの鈴木哲夫氏は「安倍氏亡き後、安倍派はまとまらず『集団指導体制』となったが、若手などは『新会長を決め再出発すべきだ』と声を挙げていた。保守政治家の象徴的存在だった安倍氏の思想・政策を継承し、新体制のもと、仕切り直しするのが筋だった。『安倍派』の名を残し集団指導体制になった時点で、『崩壊の序章』は始まっていたともいえる」と指摘する。

早くも"再編"の兆候夕刊フジ既報の通り、安倍氏は21年11月の派閥会長就任後、パーティー券販売のノルマ超過分を還流する仕組みを聞き、「このような方法は問題だ。ただちに直せ」と会計責任者を叱責し、「還流廃止」を強く指示していた。

ところが、安倍氏が死去すると、幹部らの意向で還流は継続されていた。まさに、「安倍氏への裏切り」と言うしかない。

安倍派をはじめ、自民党の派閥解消の動きはどうか。

鈴木氏は「今回の『派閥解消』の本質は、『裏金』事件へのケジメだけでなく、党内・派内対立などを抱えた『再編』に他ならない。党内の議員が接触を重ね、新しい集団形成を模索する動きが出始めている。再編の動きのなか、『無派閥化』した最大派閥・安倍派の動向は、重要なポイントになる」と指摘する。

若手や中堅には早くも"再編"の兆候がある。福田達夫元総務会長は「政治は国民の信頼がなければ動けないという原点に戻り、『新しい集団』をつくっていくことが大事」と語っている。

新しい集団形成を模索するなかで、安倍派が体現していた「自民党保守派」はどうなりそうか。

政治学者の岩田温氏は「昨年、LGBT法案成立を唯々諾々と飲んだ時点で、保守派としての清和政策研究会は終焉していた。岸田政権の内政・外交の問題点に切り込むこともなく、『安倍派』を名乗り、保守派を装っても国民は本質を見抜いている。保守のリーダーとして今後期待できるのは安倍氏とも近かった高市早苗経済安保相ぐらいしか思い当たらない。意気のある安倍派議員たちは思いを新たに、次の局面へ、しっかりと動いてほしい」と話した。