◾️母国語対英語

ストルトが描いたイラスト。却下されたセカンドのジャケ用か？

70年代のオリジナル・カイパの歌詞は全て母国語（スウェーデン語）で歌われていました。

76年12月にリリースされたセカンド・アルバム『Inget Nytt Under Solen』が国内で好評だったカイパは、海外進出を考え、エレクトラにセカンド・アルバムの収録曲の英語ヴァージョンのレコーディングを提案しました。

イタリアのPFMやマクソフォーネのような成功例もありましたからね。

77年9月レーベルはこれを受け入れ、選ばれた4曲を録音。歌詞はカイパのローディーだったアメリカ人学生Kevin Ficlingが翻訳しています。

しかしヴォーカルは、バンドメンバーではなく、Tomas Ledinというスウェーデン歌手のバックバンドのベーシストを務めていたLars Hoflundが英語の上手さを買われて担当しています。なんとおおらかなことでしょう（笑）

10月に完成したラフミックスがイギリスのエレクトラに送られましたが、結局却下されてお蔵入りになってしまいます。そして同じころベーシストのトマス・エリクソンが脱退してしまい、結局バンドの海外進出の夢は潰えてしまいました。

この4曲の英語バージョンは1993年にアルバムが仏ムゼアからCD化された時にボーナストラックとして収録されています。（以降のCDにはほぼ収録されていますが、Discogsによると韓国盤CDのみ未収録のようです）

しかし曲のタイトルまで変えてしまったので、一見しただけではわけがわかりません。

以下のようにそれぞれ改変されています。

アルバムのM1「Skenet Bedrar」（邦題「間違った印象」）21:44が、「Awakening / Bitterness」（覚醒 / 失望」）6:10に

M2「Omson Sken」（邦題「一時の悟り」）3:17が、「How Might I Say Out Clearly」（邦題「はっきりと言うには」）3:38に

M5「Dagens Port」（邦題「一日の港」）2:34が、「The Gate Of Day」（邦題「ゲイト・オブ・デイ」）2:26に

M6「Inget Nytt Under Solen」（邦題「太陽の下に新しきもの無し」）6:10が、「Blow Hard All Tradewinds」（邦題「全ての風よ、強く吹け」）6:18に

M6「Inget Nytt Under Solen」は1999年3月にフラワーキングスが初来日した時に演奏しました。

（アルバム『Alive On Planet Earth』には未収録）

ハンス・ルンディンが率いる現在の再結成カイパが英語で歌い、インサイドアウトから世界デビューして成功しているのに、ルンディンと袂を分かったストルトが結成した「原点回帰」のカイパ・ダ・カーポがスウェーデン語の歌詞にこだわったのも、面白い対比だと思いました。

◼️PFM🇮🇹は英語バージョンが好きです。

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