◾️1975年6月20日 ツーソン公演



もしかしたらイエスのロック・ギグは正しかった。


By Larry Fleischman

Tucson Citizen 1975年6月


イエス。プラス思考の力について話そう。

このようなロックグループの名前は、(DJが言うように)純金であることが保証されている。

もし彼らがNoやMaybeという名前だったら、彼らの音楽のパワーと希望は実に弱いものになってしまうだろう。


イエスはコンセプト・グループであり、昨夜は満員のコミュニティ・センター・アリーナを前に、コンセプト・コンサートを行なった。

吹き上がるスモーク、リアスクリーンのプロジェクター、点滅するライト。

シンセサイザーを使う価値のあるロック・グループなら、今時のコンサートは何でもありだ。

劇場としてのロック、芸術としての劇場。


しかし、他のロック・ショーと違って、イエスには最後まで観客の注意を引きつける力がある。

ピンク・フロイドやアリス・クーパーのショーはスペクタクルだが、爆発する照明や自動空飛ぶ円盤が役目を終えると、その面影はすぐに消えてしまう。

イエスはショーだけでなく、音楽的にも高いクオリティを保っている。

音楽を演奏することは、彼らがアリスに教え忘れたことだが、イエスでは騒乱ではなく音楽が重要なのだ。




イエスの前に演奏したジョニー・ウィンターには、かろうじてスパンコールが見えたが、ウィンターの生意気でドライヴ感のあるギターがこの夜の本当のハイライトだったことは間違いない。

ツーソンでは1ヶ月以上もロック・コンサートが開かれておらず、観客がジョニーを見たがっているのは明らかだった。

ジャンピン・ジャック・フラッシュ」と「ジョニー・B・グッド」の彼のヴァージョンは、いつものように素晴らしかった。

ウィンターはレコーディング・アーティストとしては成功しないかもしれないが、ライヴ・パフォーマーとしては彼に匹敵する人はほとんどいない。


3時間半のショーで最初に登場したのは、エース(Ace)というイギリスのグループだった。

現在「How Long Has This Been Going On」というシングルで絶好調だが、昨夜観客が反応したのはそれくらいだった。

エースはコンスタントに良質なものを演奏していたのに、聴衆は聴くことよりも席を探すことに熱心だったようだ。

しかし、耳を傾けていた人たちは、スムーズでメロディアスなイギリスのロックンロール・サウンドを堪能していた。間違いなく一発屋バンドではない。



【セットリスト】

Firebird Suite

Sound Chaser

Close To The Edge

To Be Over

The Gates Of Delirium

Your Move

Mood For A Day

Long Distance Runaround

Clap

And You And I

Roundabout

Moraz Solo

Sweet Dreams