◾️新リマスターと新ミックス聴き比べ



Artist:Camel

Title:Mirage

Year:2023(オリジナル1974)


さて『Air Born』収録の音を少しだけ聴いてみました。

比較対象はボーナストラック4曲(1974年のマーキーのライヴ)が入った2002年のUK盤『ミラージュ』です。

この盤も古い録音なのに結構いい音だと思ってこれまで聴いてきました。

比較するのは定番曲の「レディ・ファンタジー」です。



まずは2023年の新リマスター(オリジナルミックス)。

音圧が少し下がってクリアになったような感じがしますが、ミックスバランスは同じなので従来盤と聞いた印象は大差ありませんでした。


驚いたのは新ミックスです。旧企画盤と全然違います。聴いたら誰でもすぐわかると思います。

まずはドラムスとベースがクリア、かつグッと前面に出てくるプレゼンスが迫力十分です。

イントロ後のギターリフが始まると、バックのキーボードがクリアに分離して聞こえます。ヴォーカルの背後のアコギも同じです。

全体的に楽器もヴォーカルも分離が良いです。

「音の洪水のような団子ミックス」(例えばエイジアの『アストラ』)はあまり好きではないので、これはいいです。

またギターソロが始まると、従来よりギターの存在感がより目立つミックスになっています。


オリジナルミックスより好きだと思いました。

当然オリジナルアナログ・マルチ・マスターテープから制作したのでしょうが、ミックスだけではなく、ノイズもない良好な音質です。

オリジナルミックスより良いリミックスはあまり聴いたことがありませんが(ジェネシスはその少ない例外だと思います)、この新ミックスはなかなか魅力的です👍


このニューミックスを作った人物、Stephen W Taylerという人を良く知らなかったのですが、調べてみたらバークレイ・ジェイムス・ハーベストやホークウインド、ムーディー・ブルース、ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター、ルネッサンス、マリリオンなど数多くの作品のリマスターやリミックスを手がけている人物だと知りました。

https://stephentayler.com/

なかなかの手練ですね。



ブルーレイには、オリジナルミックスのほかに新ステレオミックス(ハイレゾ)と新5.1ミックス(リニアPCMとDTS HD MASTER AUDIO)が収録されています。



「レディ・ファンタジー」の5.1サラウンドも聴いてみました。

突然リアからソロがガツンと飛び出すような奇をてらったミックスではなく、リアから聞こえるのはバッキングの楽器やコーラスヴォーカルが主体で実に真っ当な正統派のサラウンドでした。好感を持ちました。


いろんな音源を聴きたい人ではなくて、リッピングして持ち出さず家で聴くだけなら、音もミックスも良いし、ブルーレイがあれば十分ですね。

ブルーレイだけのミニボックスとか、単体販売とかすれば需要があるのではないでしょうか。




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