■熱烈なファンを驚かせる過去最高のステージ・ショー



By Jim Farber

Circus誌 1977年10月27日


最新アルバム『究極』とツアーが無防備な大衆に解き放たれる前、多くの批評家や一部のファンさえも、イエスがセシル・B・デミルのような恐竜のような大げさな音楽スタイルを認め、一番近いタールの穴に静かに身を投げてくれることを祈っていた。

多くのファンは『リレイヤー』でイエスが宇宙空間に迷い込んでしまったと感じ、この3年間頑張ったあなた方も、おそらく真の熱狂というよりは、希望に満ちた忠誠の精神でそうしたのだろう。


安全ピンで顔を刺したり、キッスやラッシュのヘヴィーなメタル・ドローンに屈したりすることが、イエスのコスミック・ハーモニウムに身を委ねることよりも当たり前になっている現代において、このバンドからの最新作によって、イエスは再び現実的な存在として確立された。

同じ一枚岩であるEL&Pが、Con Ed-hoardingの最新アルバムとツアーで批評的にも金銭的にも問題を抱えているのに対し、イエスは以前にも増して親しみやすいショーを披露し、ゆるやかで、時にはあっと驚くようなファンキーなステージ・アティチュードを特徴とすることで、信じられないほどの成功を収めている。


ジョン・アンダーソンがツアー開始直前にサーカス・マガジンに明かしたように、ステージはよりシンプルになり、前回のロジャー・ディーンがデザインした巨大なスペース・グローブはなく、代わりにアルビン・エイリー率いるダンス・カンパニーがよく使用するような、3Dに引き伸ばされた布の背景が際立つドラマチックな照明のキュビズム・デザインが採用されている。

バンドの新しいサウンド・システムも役立っており、これまでバンドが演奏してきた生い茂ったホールの音響の悪さを考えれば、驚くほどクリアな音を提供している。

しかし、イエスの新たな地上での成功にとって最も重要なのは、よりのびのびとしたステージマナーだ、 

クリス・スクワイアがジャック・ブルース流の乱入ベーシストに入門したことも手伝って、アラン・ホワイトのドラムと激しく押し合いへし合いしている。


アンダーソンが約束したように、バンドはリック・ウェイクマンの意向を尊重し、『リレイヤー』や『海洋地形学の物語』からの曲は演奏せず、大成功を収めた新作LPに加え、「ユアーズ・イズ・ノー・ディスグレイス」から「危機」までの旧作を中心に演奏する。

ウェイクマンの役割は今回のツアーでは少し減っているが、彼が説明するように、バンドはより短く、より一体感のあるコンサートを行うために、今回はソロのショーケースを避けたかったのだ。

「他のメンバーがトイレ行っている間に、1人だけ一発かまされたくなかったんだ」とウェイクマンは控えめに言う。



リックとアーメット・アーティガン


それでも、このフォーマットではすべてのエゴが抑制され、バンドの民主的な気まぐれを満足させるためだけに「ビート・ヤー・ブレインズ・アウト」のドラム・ソロで苦しむ必要はない。

アンダーソンのムキムキ・ヴォーカルは相変わらず際立っており、彼の宇宙的な過負荷の歌詞を際立たせている。「トータル・マス・リテイン」などのフレーズが詰まった歌詞は、エヴリン・ウッズの読書講座のようだと今でも思う。


ステージでの存在感はどうだろう、 

ジョンは相変わらず、われわれが知っていながら尻込みしてしまうような定型の教祖だ。

しかし、素晴らしいサウンドシステムによって、彼の声に込められた感情こそが、イエスを数少ないハートのあるテクノクラート・バンドとして確立させていることがわかる。

未来の波は、イエスのポリリズムの代わりにパンクかもしれないが、このような流行を超越したエモーションを持つイエスが、この先何年もトップ・バンドであり続けることは間違いない。