クリエイティビティに溢れたミュージシャンたちによる楽曲の数々


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By Laurence ToddRamzine


現在、スウェーデンのプログレ・バンド、フラワー・キングスのファンには良い時期だ。

2022年、彼らのレコード・レーベルであるインサイド・アウトは、過去にリリースした作品をCDとレコードの両方で再発した。

そして今、2023年秋にバンドはイギリスを含むヨーロッパ・ツアーを行い、16枚目のスタジオ・アルバム『Look At You Now』がリリースされる。

このアルバムは、「現在の激動の時代からインスピレーションを得たと同時に、平和と悟りを見いだし、静寂に包まれ、我々を取り囲む驚異に畏敬の念を抱くというような人類が古来から抱いてきた目標からもインスピレーションを得た」と彼らは言う。


メインマンのロイネ・ストルトは、ハッセ・フレべリとともに1994年からのオリジナル・メンバーで、最近ではプログレのスーパースターのような存在になっている。フラワー・キングスで演奏するだけでなく、トランスアトランティックのメンバーであり、ザ・シー・ウィズインのメンバーでもある。

そのため、ストルトは他のアーティストとのレコーディングのために、より良い曲を残しているのだと言うファンもいるが、このアルバムを聴けばその証拠はない。


フラワー・キングスの音楽は、時折使われるポリリズム、ヴォーカル・ハーモニー、優れた音楽性、長大な曲の長さなどが特徴だが、最近のアルバムでは長大な叙事詩は少なくなり、60年代のヒッピーの理想に片足を踏み入れている。


Look At You Now』は2019年以来4作目のスタジオ・リリースとなるが、そのクオリティはほとんど衰えていないと言えるだろう。

また、以前のいくつかのアルバムよりもシンフォニックな範囲は狭く、よりロック・サウンド、特に「Season’s End」や「The Light In Your Eyes」のような曲では顕著な1970年代のオルガン・サウンドを持っている。


フラワー・キングスは、イエスやフロイドのようなバンドやザッパのようなアーティストと比較されるが、このアルバムにはその両方の要素がある。

 Beginner’s Eyes」は、ハーモニーの質に至るまで、イエスを不気味に彷彿とさせるクラシックな1970年代のサウンドを持ち、ジャズの影響を受けたインストゥルメンタル曲「Dr Ribenaux」はザッパのタッチを持っている。

ドラムとラッパがほとんどミリタリーな雰囲気の「Day For Peace」では、Iamthemorningのマルヤナ・セムキナがヴォーカルを加えて曲を大いに盛り上げている。


本作では、全体的にヴィンテージ・キーボードから壮大なギター・ソロ、奇妙なタイミングのドラム・フィルからシンフォニックな要素まで、フラワー・キングスの名を世に知らしめたものすべてに加え、知的で示唆に富んだ歌詞も収録されている。

トマス・ボディンはもうバンドにおらず、ジョナス・レインゴールドもアルバムに参加していないにもかかわらず、このアルバムが提供するのは、クリエイティビティに溢れたミュージシャンたちによる楽曲の数々だ。


出典:

https://ramzine.co.uk/reviews/the-flower-kings-look-at-you-now/


新曲 Scarsのライヴ


短い曲もある新しいアプローチが気に入っている。


2023915

By Joop van RossemBluestown Music


前作「By Royal Decree」が日の目をみてからまだ2年も経っていない。

シンガー/ギタリスト/コンポーザーのロイネ・ストルトとその仲間たちを取り巻くバンドによる16枚目のスタジオ・アルバムが、リリースされることになった。


キーボーディストのザック・カミンスとベーシストのジョナス・レインゴールドは、ロジスティクスの問題(カミンスはアメリカ人)とツアーの都合(レインゴールドはスティーヴ・ハケットに帯同)でバンドを離れた。

ベーシストのマイケル・ストルトが復帰し、キーボーディストのラレ・ラーソン(Karmakanic)も参加することになった。


Look At You Now』は真新しい曲で構成されているが、ストルトはイエスのようなオープニング曲「Beginner's Eyes」など、初期のアイデアも取り入れている。

以前のアルバムでは、フラワー・キングスは人類に堂々とした叙事詩を放つことが多かったが、新作はコンパクトなシンフォニック・ロックが中心となっている。

The Dream」や「Mother Earth」ではブライアン・メイを彷彿とさせるギター・ラインとクイーンのようなポリフォニック・ヴォーカルが素晴らしい。


The Queen(アコースティック・ギターとスピネットが醸し出す中世の雰囲気、故英国女王エリザベス2世への頌歌)」、巧みに構成された「The Light In Your Eyes」、「Season’s End」、美しいヴォーカルとギターソロで演奏された「Stronghold」、そしてiamthemorningのマルヤナ・セムキナと歌った「Day For Peace」が収録されている。


10分を超える曲はエンディングのタイトル曲だけで、シンフォ・ブックからの叙事詩だ。

短い曲もある新しいアプローチが気に入っている。

ジョーイ・テシエによる美しいジャケットも特筆に値する。


出典:

https://www.bluestownmusic.nl/review-the-flower-kings-look-at-you-now/


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