釈尊は、

観察によって、「無我」と「縁起」とを、発見した。

これが「悟り」の内容である。つまり、自然科学である。

それで「死苦」から、解放された。

しかし、

バラモン教の輪廻転生を受け入れていた。

「出家」と「在家」とで、「教え」が異なっていた。

「自力」だった。

 

道元は、

釈尊の「教え・お経」で、「無我」「縁起」を理解した。

「出家」も「在家」も同じ「教え」にした。また、

そして「他力」つまり「自未渡、先渡他」の坐禅だった。

しかし「前世」「現世」「来世」を要請するの因果だった。

 

南直哉は、

道元の『正法眼蔵』全87巻で、「無我」「縁起」説く。

「前世」も「来世」も必要としない。

全てを「現世」の「因果」だけで、十分である。

「前世」も「来世」も「無記」である。不問である。

 

科学時代の人間には、これが最も相応しい。

 

キリスト教の原理主義は、不幸の元である。

人類に害を振り撒いている。

 

 

ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書 1763)

 

ブッダという男

初期仏典を読みとく

 (ちくま新書 1763)

2023/12/7 清水俊史(著)

万人の平等を唱えた平和主義者ブッダは、
人々の期待が生んだ神話に過ぎない――

誤謬と偏見を排し、その実像に迫る!

ブッダは本当に差別を否定し、万人の平等を唱えた平和論者だったのか? 近代の仏教研究は仏典から神話的装飾を取り除くことで、ブッダを平和主義者で、階級差別や男女差別を批判し、業や輪廻を否定した先駆的人物として描き出してきた。だがそれは近代的価値観を当てはめ、本来の内容を曲解したものにすぎない。では、ブッダの真の偉大さは一体どこにあるのか。これまでの理解を批判的に検証し、初期仏典を丹念に読みとくことでその先駆性を導き出す革新的ブッダ論。

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【目次】
はじめに

第一部ブッダを知る方法
第1章ブッダとは何者だったのか
「歴史のブッダ」を問い直す/「神話のブッダ」を問い直す/これからの「ブッダ」を問い直す
第2章初期仏典をどう読むか
初期仏典とは何か/批判的に読むということ/先入観なく読むということ/傲慢なブッダ、謙遜するブッダ/韻文優先説と人間ブッダ

第二部 ブッダを疑う
第3章ブッダは平和主義者だったのか
「善なる殺人」は肯定されるのか/暴力や戦争はどのように否定されるのか/征服を助言するブッダ/ブッダの生命観/殺人鬼アングリマーラ/父殺しの王アジャータサットゥ/解釈としての平和主義
第4章ブッダは業と輪廻を否定したのか
神話を事実である「かのやうに」捉える/無我と縁起/無記と輪廻/中道と輪廻/ブッダの輪廻観
第5章ブッダは階級差別を否定したのか
ブッダの近代性・合理性/平等を説く資料と、差別を容認する資料/沙門宗教という文脈/聖と俗の平等/理想と現実/アンベードカルの社会改革
第6章ブッダは男女平等を主張したのか
仏教と女性差別/女性を蔑視するブッダ/女性の〝本性〞/平等の限界と現実/ブッダの男女観
第7章ブッダという男をどう見るか
現代人ブッダ論/イエス研究との奇妙な類似点/「歴史のブッダ」と「神話のブッダ」

第三部 ブッダの先駆性
第8章仏教誕生の思想背景
生天と解脱/バラモン教と沙門宗教/沙門宗教としての仏教
第9章六師外道とブッダ
道徳否定論/唯物論/要素論/決定論/宿作因論と苦行論/懐疑論/沙門ブッダの特徴
第10章ブッダの宇宙
梵天と解脱/生天と祭祀/瞑想と悟り/現象世界と解脱
第11章無我の発見
個体存在の分析/バラモン教や唯物論者との違い/ブッダは「真の自己」を認めたのか/経験的自己と超越的自己/なぜブッダは自己原理の有無に沈黙したのか/ブッダの無我説
第12章縁起の発見
縁起の順観と逆観/煩悩・業・苦/ジャイナ教の縁起説/ブッダの縁起説

終章 ブッダという男
参考文献/あとがき