グリップを引き出す①・・・タイヤが滑っても転倒しない謎 | 黄色のトパーズ

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そのバイク、何cc?
俺も昔はバイクに乗ってたんだよ。
スズキのグースってヤツでさ・・・

どうやって回転するタイヤがグリップしてバイクが進むのか? などと考えてみる。


バイクじゃなくて唐突に戦車、キャタピラーが進んでいる場面を思い浮かべてみる。戦車が徐々に(A)→(B)→(C)と左に進んでいく時、キャタピラーのピラピラ?な部分に色分けして動きに注目すると、戦車は左に動いても地面に接触している部分・・・接地している部分は全く動いていない事に気付く。(A)→(B)では接地している青と赤は動かず、地面から離れた黄色のだけ動く。(A)→(C)では接地している青の部分は動かず、接地してない赤と黄色が動く。戦車の砲塔でも搭乗員でも注目するのは何でもいいのですが、上は動いているのに下の接地面は動いていません。

回転するタイヤがグリップしてバイクが前に進むときも同様で、完全にグリップしている場合は接地面は動いていません。接地している部分が動いてしまったら?と考えてみると滑って前に進まないということになるし、グリップ=掴む、掴んでいるわけですから地面に対して動かないということで当たり前と言えば当たり前なのですが。人間の足で考えてみても歩いている時に接地面・・・足の裏が滑っているかと言えば滑っていない。接地面は全く動いていないのに体は前に動いている。接地面が動いていたら、例えば地面の方が動いていたら体は前に進まない。ルームランナー。




タイヤがグリップして前に進むというのは、人間の足を沢山増やして関節の稼動域を360度にしたような状態とみてもいい。体は前に進むけど、足の裏・・・接地面は地面に対して動いていない。グリップしています。

ということでタイヤがグリップしている場合、タイヤ接地面は地面に対して動いていない。つまり速度と加速度は共にゼロであることが分かりました。やや強引ですが本編の前置きなので、こんなもんで。



次にバイクが転倒するのはどんな時だろうと考えてみる。例えば後輪がスリップダウン。グリップしていてゼロだった接地面の速度が、アクセルを開けたらタイヤが回転しながら・・・接地面が入れ替わりながら接地面の速度がどんどん上がってしまった、加速度がついた状態。接地面の加速度がゼロであればグリップしているのですが、大きすぎる加速度でスライドする速度が急に大きくなると転倒に繋がってしまうわけです。この考えは路面と水平方向だけでなく垂直方向にも広げることができて、接地面が垂直方向に急加速すればハイサイドとなります。

では接地面の速度や加速度がゼロじゃない、タイヤが滑っていてもコントロール範囲内というのはどんな時か考えてみる。例えばスライドし始める時の、動き出しだけごく短時間加速する程度なら転倒には繋がらない。加速度が付いている状態がごく短時間であれば、接地面の速度は必ずしもゼロじゃなくてもいい。スライドした後に速度を調節している場合・・・加速度がゼロ付近でウロウロなんて場合もコントロール範囲内。また加速度がゼロで速度が一定ならズズズーッっと滑り続けるだけなので、これも転倒には繋がらずコントロール範囲内といえる。


まとめると、

グリップ・・・タイヤ接地面の地面に対する速度ゼロ/加速度ゼロ。

コントロール範囲内・・・タイヤ接地面の地面に対する加速度がゼロ付近。または滑り出しのごく短時間だけ大きな加速度でゼロ付近に戻った場合。速度は必ずしもゼロでなくてもいい=タイヤが滑っていてもいい。

コントロール範囲外・・・タイヤ接地面が地面に対して急加速し続けた時。

滑った(=接地面の速度が出た)ら即転倒というわけではない。ポイントは加速度で、速度ではないんです。コントロール範囲外のことを語っても仕方ないので、加速度がゼロ付近か、ごく短時間大きい加速度が出た場合だけ考えていきます。続く。