また、どんなに珍味や珍物をお供えしたところで、恩知らず足ることを知らずで邪な欲であれば、酒と色事、質の悪い妻のけち臭さ、夫婦の仲の悪さ、不忠不孝短気癇癪、驕りや不道、非義、家業に不精、何事にもだらしない家であれば、黒豆の飯でも大根でも、池田や伊丹の酒でも、義堂が書いた二十八相の書画であっても、形はここにありながらもこころはプイっと福は外の方、鬼は内と入れ替わって家は衰えていく。

 

先ほどからの教訓をよくよく習得して、妻にも子にも手代にも下女にも丁稚にもよくよく言い渡して、誠に至ること。常に慈悲と憐れみの心を持って、自分より目下の人をいたわり救ってやれば、陰徳があって良い知らせが甲子の元旦から常に目を開けて善事を励みその職をしっかり勤め、家の中を繁栄して仲良くして、笑う門には福来るを守って、くれぐれも慎みなさい。

 

お前に限らず世の中の男は亭主になるのであるから、手代や丁稚などに言って守らせなさい。

 

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このくどさも江戸文学らしいところであります。

 

ところで、不忠不孝短気癇癪、驕りや不道・・・こういうことをよくやっている人は、自分はいたって正常でかつ正当なことをやっていると思っており、1ミリも自分がおかしいことをやっているとは思ってないもんなんですよ。だからこういう人に何を言ってもなかなか響かないんですよね。

 

逆に、逆恨みされるのが関の山です。2回言って駄目なら離れたほうがいいです。こういう人は大概異常粘着しますから、変にターゲットにされると後が大変ですよ。仕事の同僚でこういうのがいましたけど、如何に関わらないかに注意しましたよ。話せばわかるというのは幻想ですね。

 

というか、こういう人がいるからまともな人が光ってくるわけでして。