金があるときは思い通りになるので、やらかしてしまうことが多い。魚や肉をしょっちゅう食い、舞いや音楽にのめり込み、六塵[1]に迷うのも金を持ったからだ。ある本に書いてあったことだが、「財産が多いほど罪を招くことが多い」とある。

 

 


[1] 色・声・香・味・触・法の六境のことで、心を汚して煩悩を起こさせるところから、塵という。

 

世の中には金持ち悪人説というのがありまして、金持ちは悪行の数々を行ったから金持ちになったのだという考え方です。これは、新約聖書(マタイ19章16-26節)の中に

 

イエスは弟子たちに言われた。「はっきり言っておく。金持ちが天の国に入るのは難しい。重ねて言うが、金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」

 

というのがあります。この感覚はどこの国でもどの文化でもあるようで、逆に金を持ったから堕落したというのも同様にどこの文化にもある感じがします。

 

でもね、これが成立するのは成金ですよ。本当の金持ち、何代も続く金持はこういうことをやらかすことは少ないですね。やはり、いろんな誘惑があるけど、どれが危険なのかよく分かっているからなんでしょう。芸事については、どっぷりつかることはなく、基本を押さえているだけという人も結構います。

 

下世話な言い方をすると、話を振られたときに全く何もできないのはみっともないから、少しだけかじるみたいな感じですかね。