中途半端な学者の口癖で、他人を妬んで「偽君子」と謗しることがよくある。今の世の中で君子なんてのは非常に稀である。だから、偽君子と呼ばれるのは却って名誉なことだろう。君子の真似をする人は、不忠・不孝の行いをしないだろう。これだけでも真の君子と同じである。謗られる偽君子、謗る偽小人よりもはるかに優っているというべきだ。

 

文政二年[1]十月発兌

江戸書林

     日本橋新右衛門町[2] 前川六左衛門

     芝神明[3]前     岡田屋嘉七

     浅草南馬道[4]    桑村半蔵

 


[1] 西暦1819年

[2] 現在の中央区日本橋二丁目

[3] 芝大神宮のこと東京都港区芝大門あたりか

[4] 今の台東区浅草二丁目

 

人間である以上、完璧な人はいません。よく言われるのは6割から7割出来れば上出来だと思わないといけません。これは従業員だけでなく、あらゆる人に対して言えることです。

 

ああだこうだと謗る人は、それだけでその人の価値を下げるだけですから。

 

ということでこのシリーズも終わりです。正直言ってまともな部分とトンデモな部分が入り混じり困りました。その当時の空気感も入れたい気持ちもありましたが、明らかに現在の科学的知識では危険なネタも入っていたので、これまでの心学シリーズではじめて記事を選びなおしました。