あ 商いは 牛の涎と 世に言へど だらだらするも ことに因るべし

さ 算用を 毎日立てて 金銀の 出入り勘定 綿密にせよ

き 気を張りて 能は得意へ つかひ物 始末し過ぎて 笑われぬよう

ゆ 行く末の 爲を思はば 何事も 現銀にして 守れ倹約

め 目の前の 欲に迷わず 商ひは とかく正路にするが 後の為

 

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「あ」種をまいてから、結果が出るまで本当にダラダラですが、信用を失ってすってんてんになるのは一瞬ですよ。どれだけ長い付き合いでも、1回嫌な思いをしたら行かなくなるでしょう?2回やられたら、もう次はないでしょう。そういうもんです。

 

「き」は、頃合いが難しいです。古いものを大事に使うのは結構ですが、それならそれなりに手入れをするもんですが、本当にボロボロぼろになっても勿体ないと使い続けるというのはみっともないものです。例えば昭和の30年40年初頭であれば破れた靴下を縫って使うことがあったでしょうが、今の時代にこれをやるとただのみっともない姿です。

 

「め」は、短期の利益か長期の利益かをよく見極めることですが、一般に外国と取引するときは、1回1回の契約で長期も短期もありません。だから、結構強引な交渉をしてきます。日本人はよほど相手が困っているのだろうからと簡単に妥協する傾向にありますが、ふざけるな!と突っ返さない限り延々とやり続けます。日本人が特殊なんです。

 

必ず、ここまでなら妥協できる一線を引いて、それ以上を言って来たら噛みつき返すぐらいの勢いを以て交渉してくださいね。どれだけ相手が日本語が上手でも、そのあたりの思考はそう簡単に日本風にはなりませんから。