畳算[1]を置いて、丁半をもって吉凶を占うことは、外国の書籍では見たことがない。わが国では、神代の時代から簡易な占い方法が伝わっているのだろう。天に一を地に二を生ずる理屈なので、陰陽説の奇数偶数の考え方と同じで、『周易[2]』の理屈もこれに含まれるであろう。だからあの老人はこの方法を伝えたのだろう。世の中に用いられるのとは少々違っているが、興味深いのでここに書いておこう。

 

先ず占う人の年齢の丁半を計算し、占う日の丁半を計算し、畳表で現れた数字から丁半を計算して、この三つを合わせて吉凶を占う。例えば二十一才の人が十六日に占うとして、年齢では半、日付は丁である。その畳表の数字で言うと半と出たら、二半一丁となる。また十八歳の人が二十日に占えば、半となる。これでいうと年齢は丁で日付も長であり、畳表は半であるとする。これを二丁一半の占いという。また、年齢が丁の人が、丁の日に丁の数字が出ると三丁の占いという。また半の年の人が半の日に半の数字が出るのを三半の占いという。四つの目録を後で記しておく。

 

畳表で丁半を数えるには、まずは心を静めて目を閉じて、両手の指先で畳の寸法を測っておき、目を開いて畳の目を二つずつ数えて余りが一となれば半、二つなら長とする。基本的には昔からやられている方法と変わらない。疑いを持ってはならない。占いは全て素直な状態で行いなさい。聖人がおつくりになった『周易』の正直質素であった上で、天道に従うことが重要である。自分の年の丁半をはかり、その日の丁半を計算し、畳表の三つで吉凶を定める。これは天地人の三才によるところである。

 

三丁の占い

〇天気は雨〇得物はあり〇失せ物はない〇待ち人来る〇相場は下がる〇嫁取りは吉〇婿取りは吉〇方角は西〇勝負扱い〇病気は長引くが気遣いなし〇善悪は善

三半の占い

〇天気は日照り〇得物はあり〇失せ物は失せず〇待ち人は来る〇相場は上がる〇嫁取りは悪〇婿取りは半吉〇方角は南〇病気は軽い〇旅立ちは半吉〇善悪は半吉

二半一丁の占い

〇天気は風〇得物は無し〇失せ物は出ず〇待ち人は来ず〇相場は不安定〇嫁取り嫁取りは半吉〇方角は東〇勝負は負け〇病気は難儀〇旅立ちよし〇善悪は悪

二丁一半の占い

〇天気は不順〇得物は少なし〇失せ物は出にくし〇待ち人は来ず〇相場は上下なし〇嫁取り嫁取りは悪〇方角は北〇勝負は負け〇病気は死病〇旅立ちあし〇善悪は悪

 


[1] 占いの一種。簪 (かんざし) やキセルを畳の上に投げ、その向き、または落ちた所から畳の端までの編み目の数をかぞえ、その丁・半によって吉凶を占う。主に遊里で行われた。

[2] 『易経』の大元になった本。

 

こんなお座敷遊びもあったのですね。

 

でも占いは所詮は占いです。あまりやると運気が落ちると聞いたことがあります。そこそこにしておきましょう。

 

この後、具体的な大阪米商いの手続き方法が書かれていますが、この辺にしてこの「売買出世車」もこれで終わりにします。