この米が将来値上がりするか否かを考えるのは重要である。いかにも上がりそうだと思うときは、間違っても売りにしてはいけない。又下がるはずだと思うならば、間違っても買ってはならない。その予想のように安いときに買い、高いときに売りなさい。

 

人ごとに予想は様々な理屈をつけて、天変地異を予想する人もいるが、天地はなかなか広く人の手では分からないものだ。又相場は人の和であるから、多くの人の考えを理解しなければ、一人や二人五十人やそこいらでは支えることはできない。

 

先にいうように天理に適う人は、自然とその予想は当たるものだ。人の智恵や才能ではできるものではない。正直であれば、相場を見て之は上がると予想すれば上がり、これは下がると思えば下がる。

 

このように予想が当たるのは、天理と身が合致して、予想が外れることはない。世の中の人が言う理屈や強い思い入れは何の役にも立たない。

 

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天理に適うというあたりが日本人らしい発想です。だから社会全体を制御するという発想に至らなかったのでしょう。

 

山形県の酒田市の本間一族は大坂の米相場で、その辺の大名より金を持っていたそうですが、その金は米相場で稼ぎ出しました。本間一族は今でいうところの罫線分析、いわゆるチャート分析から、どのように米の値段が変われば次はどのように変わるかを予想していました。今の金融工学は、これを基に発展しています。

 

日本は、先日の4630万円の誤送金もそうですし、漆器塗り、染色ああいった職人技を道徳論で片づけようとする悪い傾向があります。だからまともな管理職が育たない、ホワイトカラーの生産性が上がらないのだと思っています。原因と結果の仮説を立てたら、その原因変数は何かを定義し、一つ一つ確認作業をするということをやれば、かなり日本人の生産性が上がるはずです。

 

ただ株相場や、商品相場の類は余りにも変数が多すぎるので、なかなか簡単にはいかないのも確かです。だからと言って、最初からやろうとしない管理職は論外です。