米は搬入量が多くても高いときがある。正米が浜についたときに、値段が下がることもある。ほんの一部を見て米があるかどうかを判断するのは誤りである。たとえば、大坂に百万軒の家がある。この家が全て米を必要とするのであれば、いかに浜に米がついたとしても余りが出るだろうか。また百万軒が米を必要としなければ浜に米が届かなくても足りなくなることがあろうか。上にはいわゆる人の和というものがある。この点をよく考えよ。

 

富を得ようとするのは、とにかく心掛けが重要である。常に稼ごうという思いがあれば、他の酒宴や遊興に目がいくことはない。色事や博打に惑わされず、するべきことをする。それが商売である。それ以外はない。これが重要だと常に意識していれば、天の冥利に叶って自然と立身出世ることは間違いない。

 

そうなると、二倍にするのに悪事をしてまで稼ごうと思ってはならない。悪事は天の道から外れることなので、長期では上手くはいかない。

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そうなんですよね、商売をしたいと思うのはいいのですが、本当に表面的な事しか見ない人はそれしか見なんです。

 

あるところで知り合った社長の息子が商売を始めたいといっているので、諦めさせてくれと言われたことがありました。当の本人と話をしてみると、夢がないんですよね。「何でもいいから商売がしたい。」と。

 

さすがに社長の息子でも、親の商売を見てなかったのでしょうね。こんなに察しが悪いというか、これとこれを組み合わせれば面白いことができるとか、そういうものの考え方が全くできないようでした。1年近く面倒を見ましたが、原価計算は出来ず、やりたい商売のコンセプトも決まらず、結局工場勤務になっていきました。性格的にはその方が向いていると思います。

 

商売をするのは総合力というかそういうものが重要なのです。例えば、携帯電話の普及でどの産業が影響を受けるかという問いについて、NTTと答えるようでは全く話になりません。使えるお金の構造が変わることに気づかないようでは全くダメなのです。それまで使えるお金で中古車の購買が無くなり、さらにはリゾートに遊びに行く、あるいは暇つぶし産業例えばパチンコ・スロットに影響が出るというところまで考えが及ばないようでは会社経営は止めたほうがいいでしょう。