まず商売人は人と接するときは、特に和を第一にして正直でかつ正路であるべきだ。一度きりの付き合いの人であっても、この後また会ってみたいと思わせるようにしなさい。正直でなければ人は相手にしない。あの人は表面的にはいいのだが、心の底では何を考えているか分からないと見られるようでは、何をやっても害にしかならないので最初から最後までよろしくない。その上、私の方が物知りだと言わんばかりの顔をやめて、柔和に笑顔で対応するのがよい。

 

笑顔は富貴の相であると言われている。だから、恵比寿大黒の福の神は皆笑顔をしていらっしゃる。だから仮にも怒りをあらわにしてはならない。言葉づかいをキツくあしらうのも、買うものも買わずに帰ってしまうぞ。こちらから入念に準備して値段をいうとき、相手の方が安く言っても、少しも怒らず、美しく返事をして、言葉を優しく柔和にすれば。そこから商売できるものだ。それを安く言いやがったとばかりに腹を立てるのは、高く買おうとしている客を逃してしまう。買わないだけでなく、その時の話を家に帰ってして、そこの店かと店に行って買い物をしようと思っていても、この亭主かと人々に言うので、次第に不繁昌の原因となる。

 

柔和にして優しい態度をとっていれば、家に帰ってその話をして、他人にも良い話をして、買い物するときはあの店がいいよと言ってくれるものだ。しかもそのときばかりではなく、何度も店に行くようになれば、次第に評判がよくなるものだ。

 

このように他人と交わるときは初めて会う人に対しても店に立つ人にも、「和を重視して正しい道を行けば人々から慕われるものだ。人々が慕うときは、益々客が来るようになって、繁昌するようになるのは疑いようもない。

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田舎に行くと、本当にこういう人がいます。初めていく店で、「お前そんなことも知らないのか!」とか、隣の店の悪口を言ってみたり、政治思想を押し付けてきたり。俺は凄いんだぞ!と言いたいのは分かりますが、あんたよりすごい人は腐るほど降りますがなと喉元迄出てくることに遭います。

 

特に商店街でそういうことをやると、ほぼ連帯責任状態ですからね。あの商店街のどの店だっけ?みたいな曖昧な記憶で、悪評が広まってみてください。しかも、今はネットで書かれる時代ですからね。書く方が悪いといくら言ったところで、発信元を捉えて賠償請求するとあっという間に100万はすっ飛びますよ。100万円の利益を稼ぐのに、イクラの売り上げが必要です?だったら最初から態度や口のきき方に注意したほうがよほどましです。

 

どんな職業の人も二十歳迄に一度はよその地域に行き、自分の住んでいる地域のいいところも悪いところも知っておくと、こういう傲慢なことを言い出すことはないでしょう。