うつむく方がまだ楽だと気づいたものの、やはり口惜しい。どうしてくれようか。その口惜しさに負けてしまい大金剛力を出して汗水かいて思ってみたものの、さても龍蔵先生のご入場かたじけないと頭を畳の上につけているのを見て、虎蔵は驚いた。

 

「これはこれは龍蔵殿、恐れ入ります。」

 

とまた畳に上に下げつくした。龍蔵もさて雄ご丁寧なご挨拶とばかりまた頭を畳に擦り付ける。さらにまた虎蔵は頭を擦りつける。互いにトントンと手毬をつくように頭を下げて両人一堂に横に手を打って、お陰様で楽になりましたと大いに笑って喜んだ。

 

これをきっかけに仲良く共に栄えていったそうだ。

 

世の中の人は頭を下げることの楽さを知らず、ただふんぞり返って自己主張ばかり、その生涯は苦しく亡んでいくだろう。

 

よしあしの 人にはあらで 我にあり 形直うて 影はまがらず

 

自分が反り返るから他人も反り返る。自分が頭を下げれば頭を下げるものだ。

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これは排除不可能な文化、いかにも日本的です。国際関係ではそうはいきません。

 

契約の概念がしっかりした国であればそうでもありませんが、α症候群にありがちな国ですとズケズケ入り込んできますからね。これは思いっきりしっぺ返しをする必要があります。

 

個人関係であれば、さっさと離れるか、儀礼的な付き合いに留めましょう。