手島堵庵先生の我が杖の三巻は、安永乙未年(1775年)の夏五月に完成しました。

江戸中期に書かれた割には、比較的原文でも読みやすい文章でした。もちろん、読者を辛うじて字が読めるかどうかの人を対象にしていたので、なるべく難しい言い回しはないようにしていたからなのかもしれません。

本来は、各章ごとに「老人はこういった」の一文が入りますが、ここでは抄訳で削除しました。この当時にありがちな、「私が思うに」と主張するのを嫌う風潮があったからなのかなと思います。なので、この「老人はこう言った」は、手島堵庵本人のことではないかと思い、削除しています。

次回も手島堵庵の「町人身体なおし」です。