総じて木について言うと切り込んで悪くなることはあまりないのだが、すぐに元の大木になるべき気を無益に切り込んでしまえば、結局からしてしまうことになる。これは難しいことである。

だが、やらなければならないことが多いわけではない。樫の木と栢木の二つの例えからそのわけを理解できるだろう。樫の木というのは元来生気が強いので、本木を大きく切り込んで枝を一向に切り捨てるとき、来年はすぐに生き生きと若芽を吹き出すことは確実だ。このように強く切り込む方が良い。栢木というのは生気が通じにくい。だから、その木の枯れ具合をよく見立てて、一枝か二枝の中に勢いがある枝を残してその他をすべて切り払って、程よく肥やしを与えなさい。このようにすれば、残った枝も勢いが増してくる。

総じて肥やしが強いときは却って枯れてしまう。肥やしは気持ち弱いものを与えるべきだ。

人も年を取れば元手が減って弱っていくものであるから、まずは樫の木を育てるようにすべきか。そうであっても、商売が得意または職方であっても、よい老舗の株があっても元手が減ってしまい続けられない。あるいは、本人が仕切るのを止めて、どんなことでも新規の職であっても商売についても似たようなことがある。こういうのが栢木の性格である。枝を切りつくして枯れてしまうことがある。この点をよく考えてみることだ。これには口伝がある。

 

枝と商売の関係は、いろいろなものが必要である。肥料は金銀の元手のことだ。樹木の陰陽を考えて、土地の状態を観察し植える時期を第一に考えるということは、何よりも工夫が重要である。

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例えはあっているか微妙ですが、多角化に成功する企業と失敗する企業ってありますよね。また業態変化するところと80年近く同じ業態で続ける企業ってありますよね。その会社ごとに変えていいものと変えてはいけないものってあると思うのですよ。

一時期変わらなければだめだとビジネス書であおっていた経営学者モドキがいましたが、自分の根っこをよく見ないで失敗した会社も結構ありました。根拠もなく感性だ右脳だと言っていた人はどこに行ってしまったのでしょう。