一 中分以下の全ての人は、必ず過不足を弁えず自分の収入を忘れる事が多い。この事をよく理解するように。

一 我が子可愛さに溺れ、身分不相応の衣服を着せて、あるいはひな祭りや兜飾りなど大袈裟にするのは無駄遣いであると心得なさい。

一 自分の職業が忙しいのを世間に見栄を張ってみだりに借金し、ただ手をつかんで金を得ようとしてはならない。

一 仕事の状態が少し良くなれば、注意散漫になり無駄遣いが増えるものだ。よくよく自分を顧みて注意しなさい。

一 中分以下は必ず世間の義理を考え、付け届けに支出が多い。ただ義理を忘れぬようにして勘弁してもらいなさい。大気者[1]と呼ばれていては金はたまらない。

その他、驕るようなことを控え、僅かに使う。自分の家に使う物と外のために使うもの、それぞれに予算を考え、ケチ臭いと言われないように、自分の財産相応に弁えなさい。

 


[1] 大気者(たきもの)は、大人物。ここでは評判を気にしているようでは、金が溜まらないと諌めている。

 

私の友人である近江商人の末裔は、この点よく計算して行動していました。

こういう儀式にはきちんと金を遣いますが、それが子供への教育につながるか、新たな人脈につながるか、よく見極めてから金を遣っていました。パーティもホテルでやると高いので、ホテルのシェフを呼んで自宅でやるとかで、何割か安くなるとか。そういうところはかなり計算していたようです。

決して本人の楽しみのためには遣わなかったようです。だから、嫁さんにはケチだと言われていたようです。